ベトナムの新たな国際戦略 「追随」から「主導」へ大転換
(VOVWORLD) - ベトナムが国際社会での立ち位置を大きく変える新戦略を打ち出しました。今月16日ハノイで「国際統合に関する党政治局の決議59号」の徹底と実施を目指す全国会議が開かれました。この決議は、これまでの受け身の姿勢から積極的に世界をリードしていく姿勢への転換を宣言したものです。
決議59号の徹底と実施を目指す全国会議 |
受け身から主導へ 戦略の根本的転換
ベトナムはこれまで、発展途上国として国際社会に「参加する」立場でした。しかし今回の新戦略では、国際的なルールづくりを自ら「主導する」国を目指すことが明確に示されました。国際統合は国を新時代へと導く「重要な原動力」として位置づけられています。
トー・ラム党書記長は次のように強調しました。
(テープ)
「国際社会への関わり方について、これまでとは全く違う考え方で取り組んでいきます。これまでのように受け身で参加するのではなく、積極的に貢献していく姿勢へ。そして表面的な統合から、より深く本格的な統合へ。発展途上国という立場から脱却して先進国の仲間入りを果たし、新しい分野では世界の先頭に立って道を切り開いていく国になります」
新戦略では経済統合を中心に据え、その他の分野の統合も経済統合を促進する方向で進めることとしています。トー・ラム書記長は次のように語りました。
(テープ)
会議で発表しているトー・ラム書記長 |
「国際統合では経済を中心に据えて、その他の分野も経済発展を後押しする形で進めていきます。経済面では構造改革、成長の仕組みづくり、そしてデジタル化を最優先で取り組みます。政治や安全保障の分野では、国の力を高めて国際的な地位を向上させ、脅威が現実となる前に、できるだけ早い段階から、遠くからでも国を守れる体制を築いていきます。そして科学技術については最も重要な分野として位置づけ、国内の技術基準を世界の先進的なレベルまで引き上げることを目指します」
また、文化や教育、観光といった分野でも国際的な統合を進め、「世界と肩を並べるベトナム人」の育成を目標としています。
制度整備と投資誘致の強化
国際的な約束や協定の実施体制についても大幅な見直しを行います。国際法の国内法化を進めるとともに、新世代の(FTA)自由貿易協定を効果的に活用し、特定のパートナーへの過度な依存を避けながら利益の相互依存関係を強化します。
投資誘致についても大きく方針転換します。これまでの「量」重視から「質」重視へと舵を切り、IT や半導体、人工知能といった先端分野で世界をリードする企業の誘致に力を入れます。同時に、ベトナム企業の海外進出も後押しし、国際的なブランド力の向上を図る考えです。
この戦略転換の背景には、激変する国際情勢があります。ベトナムは今回の決議によって、世界政治と経済により積極的に関わっていく準備を整えたといえるでしょう。東南アジアの一国から、世界の中で重要な役割を果たす国への飛躍を目指す、ベトナムの強い意志が表れた戦略です。