(VOVWORLD) -ロシアとウクライナの軍事衝突の和平問題で、ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、停戦後のウクライナが北大西洋条約機構(NATO)の集団防衛義務を定める北大西洋条約第5条に準ずる「安全の保証」を得られる場合、ウクライナはNATO加盟という国家目標を放棄できるとする考えを示しました。
14日のオンライン記者会見での発言をロイター通信やウクライナメディアが伝えました。
ゼレンスキー氏は記者会見後、ドイツの首都ベルリンで米国のウィットコフ中東担当特使やトランプ大統領の娘婿クシュナー氏ら米代表団と和平問題を協議しました。協議にはメルツ独首相も同席しました。15日には現地で米・ウクライナと欧州首脳陣による協議も行われるとしています。
一連の協議では、米・ウクライナ間で見解が一致していないウクライナ領の対露割譲を巡る問題や、ウクライナへの「安全の保証」が主要議題となります。最終的な対露和平案に合意できるかが最大の焦点です。
記者会見でゼレンスキー氏は、ウクライナのNATO加盟を「米国や欧州の一部が支持していない」と指摘しました。NATO加盟目標の放棄はウクライナにとって「妥協」だとも説明しました。
ゼレンスキー氏は一方で、東部ドネツク州全域からウクライナ軍を撤退させるとする米国の提案には応じられないとの立場も示しました。
ロシアは和平の条件として従来、ウクライナの領土割譲やNATO非加盟の確約などを要求しました。ウクライナがNATO加盟方針を放棄した場合、和平協議に一定の進展が得られる可能性があります。ただ、ロシアはウクライナの「安全の保証」には自国も関与させるべきだと主張しており、ゼレンスキー氏の想定する欧米主導の「安全の保証」を容認するかは見通せないとしています。
一方、これに先立つ14日、ロシアのウシャコフ大統領補佐官は、現在の紛争を解決するための和平計画に、ウクライナおよび欧州連合(EU)が策定した提案が盛り込まれた場合、ロシアは強く反対するだろうと明らかにしました。また、ウシャコフ大統領補佐官によりますと、現時点で、モスクワは前述の提案に接する機会を得ていないものの、これまで繰り返し明確にしてきた立場に反するいかなる修正もロシアは受け入れません。