イスラエル、シリア首都を空爆 米「戦闘まもなく停止」と表明
(VOVWORLD) - イスラエル軍は16日、シリアの首都ダマスカスに対して空爆を実施し、国防省の建物の一部を破壊したほか、大統領府の付近も攻撃しました。シリア南部のスワイダ県では、少数派イスラム教ドルーズ派と政府部隊の衝突が再燃しています。
2025年7月16日、イスラエルによる空爆後、シリア・ダマスカスにある国防省から立ち上る煙(写真:REUTERS/Khalil Ashawi) |
ドルーズ派の住民を保護するとしているイスラエルは、政府部隊を撃滅すると表明し、撤退を要求しました。イスラエルはまた、シリアのシャラア暫定大統領が率いる政権を「偽装したジハード主義者」と呼び、同政権による南部シリアへの軍展開は容認できないと主張しています。シャラア氏とアメリカとの関係改善が進む中での今回の攻撃は、イスラエルによる大幅なエスカレーションとなりました。
こうした中、アメリカのルビオ国務長官は、戦闘はまもなく停止すると表明しました。ルビオ長官はソーシャルメディアで、「私たちはシリアでの衝突に関与する全ての当事者と協議し、この状況を今夜終結させる具体的な措置で合意した」と述べました。
ロイター通信が入手した書簡によりますと、シリア政府は紛争解決への取り組みを歓迎するとし、国連安全保障理事会に対して、イスラエルの「侵略行為」に対応するよう求めました。外交筋によりますと、国連安保理はイスラエルによる攻撃を受け、17日に会合を開く予定です。
イスラエル軍の当局者は、シリア軍がドルーズ派への攻撃を止めておらず、問題の解決どころか、その一部になっていると非難しました。イスラエルは、シリアにおけるドルーズ派の虐殺を許さないとし、「明確なメッセージを送るため、ダマスカスにある軍司令部の入口を攻撃した」と明らかにしました。また、イスラエルとの国境に近いシリア南部での軍事力の増強は認めないと強調しました。
この日の攻撃では、イスラエル軍の戦闘機がダマスカス上空を低空で飛行し、一連の大規模な攻撃を実施しました。現地の医療関係者によりますと、国防省の建物への攻撃で治安部隊の隊員5人が死亡したということです。
ドルーズ派住民が多数を占めるスワイダ県では、13日に宗派間の衝突が発生しました。衝突したのはドルーズ派の民兵とベドウィン部族の戦闘員で、事態の収拾を図るために14日に派遣された政府部隊が、最終的にドルーズ派の民兵と衝突する形になりました。
イスラエルはドルーズ派を保護する目的で、14日から15日にかけてシリア政府部隊を空爆しました。16日には一度停戦が発表されましたが、その後、衝突が再び激化しました。シリア政府は、スワイダの非合法グループが停戦を破ったと非難しています。
シリア人権ネットワークによりますと、これまでに169人が死亡したということです。一方、治安関係者は死者数を300人としていますが、ロイターは独自にこの数字を確認できていません。(ロイター)