パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を巡り、ロイター通信は25日、イスラエル側が停戦案を修正しようとしていると報じました。イスラム組織ハマスの再軍備を避けるため、避難民がガザ南部から北部へ帰還する際の身元検査を求めているということです。現行案では、住民は北部へ自由に帰還できるとされており、合意形成が難航する恐れがあります。

アメリカのニュースサイト「アクシオス」によりますと、イスラエルのネタニヤフ首相は、25日のアメリカのバイデン大統領との会談の際、ハマス戦闘員の移動の監視態勢確立といった新たな要求について協議しました。修正案を2日以内に仲介国カタールなどに送るとも伝えられています。

これに対し、交渉に参加するイスラエル高官はイスラエル紙ハーレツに対して、戦闘員の北部帰還を阻止する態勢の確立を求めることは「交渉に致命的な打撃になる」と主張しました。ネタニヤフ氏が意図的に停戦交渉の危機を創出していると非難しました。ここ数日、交渉団とネタニヤフ氏との間では緊張が高まっているということです。

停戦交渉を巡っては、アメリカ中央情報局（CIA）のバーンズ長官が28日にローマで、カタールのムハンマド首相兼外相やイスラエルの対外諜報機関モサドのバルネア長官らと協議する予定です。アクシオスによりますと、イスラエルとハマスの間の溝を埋めるための詳細な交渉をするのではなく、交渉を前進させるための戦略を話し合うとしています。

イスラエル軍は26日もガザ地区を空爆しました。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によりますと、南部ハンユニスでは18人が死亡しました。ガザ保健当局は25日、昨年10月以降のガザ側の死者は3万9175人になったと発表しました。（毎日新聞）