今年の世界経済成長率は昨年並みの2.8%に=国連経済社会局
(VOVWORLD) - 国連経済社会局は9日に発表した「世界経済状況・予測」報告書の中で、今年の世界経済成長率が2024年と同じ2.8%になるとの見通しを示しました。
報告書によりますと、アメリカと中国は引き続きプラス成長を維持するものの、その成長率は鈍化すると予想されています。一方で、欧州連合(EU)、日本、イギリスは緩やかな回復が見込まれ、インドやインドネシアなど一部の有力途上国では堅調な成長が続くと見られています。
同報告書では、「世界経済は(コロナ禍前の)2010~19年の平均成長率3.2%に比べて減速する」と指摘されています。その要因として、低調な投資や生産性の伸び悩み、高水準の債務、人口動態面での重圧といった構造的課題が挙げられています。
国・地域別の成長率について、アメリカは労働市場の軟化や消費の減速の影響を受け、2024年見通しの2.8%から1.9%に鈍化するとの予測です。中国は公共投資や輸出のプラス効果がある一方で、消費の停滞や不動産セクターの低迷が影響し、成長率が4.9%から4.8%にわずかに下がるとしています。欧州はインフレの和らぎや労働市場の底堅さを背景に、成長率が0.9%から1.3%に加速する見込みです。
さらに報告書では、インフレ圧力の緩和を受けて、主要中央銀行が今年利下げを進める可能性が高いと分析されています。ただし、金融緩和だけでは世界経済の成長を再加速させたり、格差問題を解消したりするには不十分であり、債務問題や気候変動などの国際的な危機への対応には、多国間での大胆な取り組みが必要だとも提言されています。(ロイター)