10年以上もトラを飼育していた人

(VOVWORLD) -トラを飼育する仕事は大変であるだけでなく、危険でもありますが、その仕事を愛し、トラをペットのように世話をしている人もいます。

近年、ベトナムの野生のトラの数が急速に減っています。IUCN=国際自然保護連合の統計によりますと、2015年現在、ベトナムの野生のトラは5頭以下であるということです。特に、IUCNのレッドブックのホームページで、ベトナムでトラが絶滅の可能性があるという見方もあります。世界各国と同じように、ベトナムでの野生のトラを脅かす主な原因は3つあります。これらはトラの生息地である森林が破壊されたことと密猟、および、違法な取引です。

ベトナムは自然に残されているトラを保護するため、トラを優先的に保護すべき希少動物のリストに入れました。また、2014年~2022年期におけるトラ保護に関する国家プログラムも承認されました。

2022年のベトナムの干支は寅年です。トラは力強く、勇敢で、頑強シンボルとされています。トラは「森の主」とも呼ばれています。しかし、現在、ベトナムでのトラの数が急速に減っており、絶滅危機に追い込まれています。

現在、ベトナムにある各動物園でトラが飼育されていますが、野生の動物なので、飼育員は注意しないと、危険にさらされています。トラを飼育する仕事は大変であるだけでなく、危険でもありますが、その仕事を愛し、トラをペットのように世話をしている人もいます。

その人々の一人はホーチミン市にあるサイゴン動物園有限会社所属サイゴン動物園猛獣世話班の元副班長であるチャン・ゴック・ルアンさんです。

10年以上もトラを飼育していた人 - ảnh 1チャン・ゴック・ルアンさんとサイゴン動物園にいるホワイトタイガー
(写真:Le Hang)

ルアンさんは15年間にわたり、サイゴン動物園に勤務しており、その中で、10年間で、トラ飼育をしました。今、定年退職しましたが、サイゴン動物園で飼育してきた虎9頭について言う度に喜びを表しました。今頃になっても、ルアンさんはそれぞれのトラの性格を熱心に物語ることができます。

トラの飼育に関する最も忘れがたい出来事は今から6年前に、ルアンさんが生まれたばかりのホワイトタイガー2頭の飼育という任務を受けた時のことです。ホワイトタイガーはインドからインドシナにかけて分布しているベンガルトラの白変種です。その時、ルアンさんはこの子虎2頭を赤ちゃんのように世話しなければなりませんでした。

母虎が十分に母乳がないので、2時間ごとに、それぞれの子トラに人工乳を与えたり、日夜を問わず、子トラを抱いたりしていました。そして、子トラが病気にかかった時、飼育員が輪番で世話をしていました。

ルアンさんにより、生まれた時から飼育されたホワイトタイガー2頭の他、サイゴン動物園で飼育されているトラ9頭はいずれもルアンさんがなついています。また、これらのトラはルアンさんの言葉をよく聞いて、行動しました。ルアンさんがこれらのトラに運動場を離れて、ケージに入るよう求めると、トラたちはすぐにケージに入りました。ルアンさんは「トラが森林で生息する野生動物なので、動物園で収容するとストレスをためやすい。そのため、トラに対し、優しく接する必要がある。大きい声で話すとトラをそそのかすかもしれない」と明らかにし、次のように語りました。

(テープ)     

「トラの飼育員としての仕事は熱心さと好きでないとできません。トラが小さい時、子供のように世話をして、子トラが私を親のようにしています。しかし、成長するに連れて、徐々にトラから離れなければなりません。トラは野生動物なので、万が一の場合を予想できないからです。また、トラを飼育する時、優しく扱う必要があります。」

トラを飼育する仕事は大変であるだけでなく、いつでも事故が発生する可能性がある仕事です。その他、この仕事を担当する人はよい健康と素早い対応能力を備える必要があります。

トラにエサを与えるだけは多くのノウハウがなければなりません。また、飼育員は毎日、トラへのエサの栄養を確保するだけでなく、ケージを清潔に掃除しながら、トラの体調を把握するため観察しなければなりません。

サイゴン動物園所属動物飼育会社のマイ・カク・チュン・チョック社長は「トラを飼育する作業員はトラに対する愛情と高い責任感がなければ、この仕事を長くすることはできない」と明らかにし、次のように語りました。

(テープ)

「ルアンさんはこの仕事が好きだったので、仕事にかかわる多くの困難を乗り越えました。他の仕事と比べて、この仕事は多くの危険にさらされています。トラに優しく対応するのはリスクを回避する方法となっています。トラに好まれないとこの仕事はできません」

現在、ルアンさんは定年退職していますが、トラの飼育という仕事とトラのことを懐かしんでいるため、よく他の飼育員に電話をかけて、トラの様子を尋ねています。その他、ルアンさんはサイゴン動物園有限会社の指導部に対し、雨季がやってくる前に、トラのケージを改修するよう提案しました。ルアンさんは希少動物として認められているホワイトタイガーの数が今後さらに増やされることを望んでいます。

2022年の寅年に入り、ルアンさんのような飼育員の取組により、サイゴン動物園で飼育されているトラたちが元気で、順調に成長しています。


 

ご感想

他の情報