クアンニン省の石炭採掘体験ツアー


山崎  こんにちは、山崎千佳子です。 

ソン  こんにちは、ソンです。今日のハノイ便りは、クアンニン省の石炭採掘体験ツアーについてお伝えします。

山崎 ええ?石炭採掘?石炭を掘るツアーですか?

ソン そうです。クアンニン省は、世界でも指折りの品質と埋蔵量を誇る無煙炭の産地としても知られているんです。

山崎 無煙炭。煙が出ない炭ですか?

ソン はい。最も炭化が進んだ石炭で、他の石炭と比べると燃やした時の煙や臭いが少ないんです。

クアンニン省の石炭採掘体験ツアー - ảnh 1
石炭採掘探検ツアーへの参加者

山崎 その場所のクアンニン省ですけど、ハロン湾のあるところですよね。

ソン そうです。クアンニン省は、世界遺産のハロン湾で有名な観光地ですが、石炭産業も盛んです。

山崎 採掘作業というと、危険とか、きついというイメージですよね。その体験ツアーというのは、ユニークですね。

ソン はい。まずはクアンニン省とその石炭産業についてご紹介します。

山崎 クアンニン省はベトナム東北部にありますね。東はハロン湾に面していて、北は中国との国境なんですね。

ソン そうです。中国との国境と領海に同時に接するベトナムで唯一の地方です。クアンニン省の面積はおよそ6100平方キロメートルで、地形の8割が山岳地帯です。

山崎 ハロン湾付近だけ考えると意外な感じがしますけど、中国との国境の辺りは山間部ですもんね。

ソン はい。クアンニン省の沖にある2000の大小の島も全体が山のような形というか、ハロン湾にあるような岩みたいな島なんです。

山崎 おもしろいですね。クアンニン省の省都はハロン市ですね。

ソン はい。ハノイの中心部から北に170キロのところにあります。クアンニン省の人口はおよそ120万人で、ベトナムで1番多いキン族以外に、タイー族、ザオ族、サンチャイ族などの少数民族も住んでいます。

山崎 少数民族の居住地は山間部ですか?

ソン そうです。次に、クアンニン省の歴史について少しお話します。紀元前にベトナム人の最初の国家とされるバンラン国があったと言われていますが、その時代からあった地方です。

山崎 ベトナムの中でも、歴史のある地域なんですね。

ソン はい。石炭の埋蔵量が多く、フランス植民地時代から石炭の採掘が始まったことで、労働階級が誕生しました

山崎 それまでは、労働階級はなかったんですか?

ソン それ以前はベトナムは封建国家だったので、クアンニン省が初めて労働階級が生まれたところとなりました。そのため革命運動の発祥地ともなって、フランスに抵抗したんです。

山崎 なるほど。単にハロン湾があるところと思ってましたけど、クアンニン省も深いですね。

クアンニン省の石炭採掘体験ツアー - ảnh 2
上から炭鉱と海を眺める

ソン そうですね。観光と石炭産業で、経済が最も発展している地方の一つになっています。クアンニン省の今年の上半期の経済成長率は9.2%で、ベトナム全土の成長率の1.5倍となっています。

山崎 豊かな地域なんですね。やはり、世界遺産のハロン湾があるのは大きいですね。

ソン そうですね。観光資源に恵まれているというのもありますね。昨年、クアンニン省を訪れた観光客の数は770万人に上って、そのうちの36%は外国人観光客でした。

山崎 そして、観光の他に、石炭産業ですね。

ソン はい。クアンニン省はベトナム国内最大の石炭の産地で、ベトナム全土の埋蔵量のおよそ9割を占めています。年間の生産量は3000万トンを超えています。

山崎 いよいよ、石炭採掘体験ツアーの話でしょうか(笑)?イメージだけだとハードそうなツアーですけど、実際、人気はあるんですか?

ソン 多くの人を引き付けていますよ。

山崎 普通の観光ツアーとは違うので、参加者はガッツが必要かもしれないですね。

ソン そうですね。でも、ツアーでは、特別な防護服を着たり、特殊な台車に乗ったりするなど、安全に関する厳しいルールが守られています。なので、危険ということはありません。

山崎 やはり安全ということが一番大事ですね。ツアーでは普段なかなか見られない、貴重な景色が見られるということですが、何なんでしょう?体験ツアーを行っている旅行会社社長(グエン・アイン・トゥアン)の話です。

(テープ)

「炭鉱が海の近くにあるので、ツアーでは、大型の台車に乗って山の上から海を眺めることができます。これはとても美しい風景ですよ。今までに体験したことのない感じだと思います。テレビなどで石炭を運ぶ大型の台車を見たことがあるかもしれませんが、それに乗って眺める壮大な景色は忘れられないものになります。」

山崎 このツアーは、単に石炭を掘るだけでなくて、石炭産業について理解を深められるようです。石炭の種類や採掘の仕方など、一般の人があまり知らないようなことを教えてもらえるそうです。先ほどの旅行会社社長の話です。

(テープ)

「石炭の採掘は、露天堀りと坑内掘りという2つの方法で行われています。露天掘りは、坑道を掘らずに地表から掘っていく手法です。坑内堀りは坑道を掘ってから、地下の石炭の層を採掘する方式です。技術の発達や作業の機械化、そして石炭の層が深くなっていることから、坑内掘りによる生産の割合が増加しています。クアンニン省には、地下300メートルの坑道を持つ炭鉱もあるんですよ。」

クアンニン省の石炭採掘体験ツアー - ảnh 3
炭鉱内を見学

山崎 実際に採掘を行っている作業員と話して、その仕事と生活の様子を聞くのも興味深いということです。

ソン 石炭を運ぶ大型トラックの中には、総重量100トンもの車両があるそうで、そういうトラックを運転するには、かなりの経験が必要だそうです。

山崎 そうですよね。何かあったら、大きな事故になってしまいますよね。ここで、炭鉱で20年間、大型トラックを運転しているというドライバー(チャン・ヴァン・トゥイェン)の話です。

(テープ)

「この仕事は大変です。好きでないと、続けられません。トラックは種類がたくさんありますが、どれも燃費が良く、効率的に石炭をたくさん運べます。でも、大切に乗らないと、長く使えません。石炭の採掘体験ツアーで、自分たちの仕事を少しでも理解してもらえたら、嬉しいです。」

山崎 この体験ツアーは、昨年から行われているそうです。評判は上々だそうですね?

ソン はい。今後はツアーの回数を多くして、地下300メートルの坑道を体験するものも計画しているそうです。

山崎 すごいですね。地下300メートルは想像がつきませんね。クアンニン省の観光はハロン湾に加えて、この石炭発掘ツアーも有名になるかもしれませんね。

ソン そうですね。体験ツアーに参加した女性(トゥ・ティ・ミ・ハン)の話です。

(テープ)

「炭鉱に来たのは初めてです。素晴らしい体験でした。まず景色が雄大できれいでした。大型の台車や地下150メートルの炭鉱、直径2.7メートルの車輪を持つトラックなど、日常生活では見られないものも印象的でした。石炭の採掘の仕方がわかりましたし、実際に作業員の人たちが仕事しているところも見ることができました。」

ソン やはり面白いツアーですね。

山崎 ソンさんはどうですか?行ってみたいですか?

ソン (コメント)

山崎 では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「~」をお送りしました。

今日のハノイ便りは、クアンニン省の石炭採掘体験ツアーについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。


ご感想

他の情報