(VOVWORLD) - ホーチミン市は「誰一人も取り残さない」という方針で、市民の生活保障の確保を重要な目標として位置付けています。
4月末から広がった新型コロナウイルス感染症の第4波の震源地であったホーチミン市は最も深刻な被害を受けた地方なので、困難な状況に陥っている市民が多いです。中でも貧しい人々や身体障がい者、親を亡くした子どもたち、身寄りのないお年寄りなどの社会的弱者はより困窮しています。そのため、ホーチミン市は社会的弱者を対象とする第3弾補助パッケージを展開しています。
市民に補助金と支援物資を手渡している当局者 |
ホーチミン市は「誰一人も取り残さない」という方針で、市民の生活保障の確保を重要な目標として位置付けています。第1弾は、政府が今年の7月に出した総額26兆ベトナムドン(日本円で1300億円)の補助パッケージで、ホーチミン市はこのパッケージを精力的に展開していました。第2弾は、ホーチミン市人民評議会が7月5日に採択した総額9000億ドン(45億円)の補助パッケージです。
今回の第3弾はホーチミン市人民評議会が9月22日に採択したもので、市の予算から拠出される補助金は計7兆3470億ドン(約350億円)と試算されています。ホーチミン市の戸籍を持つ市民を対象とする第1弾と第2弾より、第3弾は戸籍を持つ市民はもちろん、一時的に居住している人も対象とします。第3弾の補助金は、貧困世帯や、収入源が絶たれて困難な状況にある市内の労働者とその扶養家族、年金受給者の扶養家族、貧困層向け住宅区や貸し部屋などで部屋を借りており、生活上の困難に直面している人々などに給付され、約735万人が給付対象となるとしています。ホーチミン市労働傷病軍人社会事業局のレ・ミン・タン局長は次のように語りました。
(テープ)
「補助金の給付は、貧しい地区で優先的に行われています。貧しい地区では、住民がとても困難な状況に陥っているからです。特に、第1弾と第2弾の対象者ではない人に優先的に給付しています。これは、市民の生活を守るためのホーチミン市の取り組みです。」
第3弾の補助パッケージの対象者ではない人に補助金を支給するという問題を解決するため、支給される人のリストがその居住地で公表されています。これにより、補助金は本当に困窮している人に支給されています。第4区に住むファン・ティ・ビンの話です。
(テープ)
「第2弾の支援を頂きましたが、今回の第3弾も頂いてうれしく思います。補助金の他、食料品や必需品ももらいました。」
一方、第7区に住んでいるチュン・クオク・クオンさんは仕事を失って収入がないので大変な生活を余儀なくされたと述べ、次のように語りました。
(テープ)
「国から補助金をもらうのは今回が2回目で、それぞれは150万ドン(7500円)です。この補助金を家賃や食事代に使っています。本当に助かりました。」
ホーチミン市労働傷病軍人社会事業局によりますと、今回の第4波で身内や両親・片親が死亡し、約2,000人の子供が孤児になりました。また、独居を余儀なくされた高齢者も381人いるということです。こうした事態を前に、同局は市人民委員会に「新型コロナ禍での孤児や1人暮らしの高齢者の支援に対する予算投入計画」を提案し、心理的援助や、金銭的支援、教育支援、法的保護など9つの具体的な支援方針を示しました。
この計画は孤児や独居高齢者に対して補助金の支給を提案しており、4歳未満は月額120万ドン(約6,000円)、4歳以上は月額72万ドン、60~80歳の高齢者は月額48万~144万ドンとなります。また、健康保険証も無料で付与する方針です。
国の支援の他、社会団体や企業の多くも新型コロナ禍の社会的弱者を支援しています。ホーチミン市祖国戦線は社会福祉センターと協力して、「二百万の福祉袋」という支援運動を展開しています。この運動は、新型コロナ禍において仕事を失った人や感染者、困難な状態にある生徒・学生に、米や卵、野菜、薬、生活必需品などを入れる袋(いわゆる福祉袋)を贈ることが狙いです。「福祉袋」は約30万ドン相当のもので、この支援総額は6千億ドン(約30億円)にのぼり、国内外の企業や組織、個人に寄付されます。ホーチミン市祖国戦線委員会のト・ティ・ビック・チャウ委員長は次のように語りました。
(テープ)
「私たちはすべてのリソースを活用して、困難な状況に陥っている市民に早めに補助金や支援物資を届けるようにしています。市が社会的隔離措置を取る際にも、できるだけ補助金や支援物資を届けました。」
新型コロナは多くの人の生活に大打撃をもたらしていますが、国と社会全体の相互支援により、国民の生活は徐々に安定化することでしょう。