世界遺産ホイアン旧市街 環境にやさしい観光地へ

(VOVWORLD) - ユネスコ世界遺産に認定されているベトナム中部ホイアン旧市街は、世界的にも有名な観光地ですが、ごみ問題を始め、環境問題に悩んでいました。しかし、地元当局と住民の多くの努力により、ホイアンは環境を守りながら、観光を発展させていく、「環境にやさしい観光地」として知られるようになりました。
世界遺産ホイアン旧市街 環境にやさしい観光地へ - ảnh 1ホイアン旧市街

クアンナム省ホイアン市は、中部港湾都市ダナンから南へ約30キロ離れたところにある小さな町ですが、大航海時代に海のシルクロードの交差点として知られ、東洋と西洋を結ぶ中継貿易港で繁栄していました。当時のホイアンには、ポルトガル・オランダ商館、中国人町、日本人町があったとされ、日本の御朱印船がよく訪れていました。今も、古きよき時代の街並みが残っており、古い木造家屋がズラリと立ち並んでいます。ベトナムへ移住した日本人が架けたと言われる来遠橋が今も残っています。

ホイアン旧市街の伝統的な家屋や中国会館などの観光スポットを訪れると、よりノスタルジックな雰囲気に浸ることができます。また、ホイアン旧市街に住む人々の生活様式や親しみやすさ、人情深さはこの町に足を運ぶ観光客にとって、印象深いものとなっています。そして、お洒落な旧市街でのショッピングや古民家カフェめぐりなどの散策も魅力です。特に夜になれば色鮮やかなランタンがホイアンの街並みを彩り、旧市街はより華やかな雰囲気でにぎわいます。2019年にホイアンを訪れた観光客の数は535万人に達し、そのうち、海外からの観光客は約400万人に上りました。

しかし、観光客の急増に伴うごみ問題が深刻になりました。ピーク時には、一日のごみの量が100トンを超え、ホイアンのごみの収集と処理能力を遥かに上回っていました。こうした状況に対し、ホイアン市は、「ごみ問題を徹底して解決する」というスローガンを掲げ、ごみの収集・処理能力を高める傍ら、「環境にやさしい観光」という運動を起こしました。この運動は観光活動で生じたごみの削減、および観光活動に必要な電気と水道の節約を目指すもので、資源ごみのリサイクルや、ごみ分別、使い捨てプラスチック製品の不使用、プラスチック製品の使用制限などの措置を打ち出しました。また、ホテルやレストランなどはソーラーパネルを介して発電し、水の使用量を最小限に抑え、残飯を堆肥化することによって食品廃棄物を最小限に抑えるという措置もあります。観光収入は多くのホイアン市民にとって重要な収入源となるため、この運動は町中に広がっています。

世界遺産ホイアン旧市街 環境にやさしい観光地へ - ảnh 2ベトナムへ移住した日本人が架けたと言われる来遠橋

「ヴォン・オン・ト(Vuon Ong Tho)」という小さなリゾート地のオーナー、ファム・ティ・リン・チさんによりますと、ごみ分別と使い捨てプラスチック製品を使用しない、という意識は、ホイアンのホテルやレストランで働いている人にとっては当たり前になってきていると言います。海外からの観光客の多くは環境保護に対する意識が高いからであるとしてます。チさんの話です。

(テープ)

「めんどくさいという考えは一切無く、この運動に賛同して参加しました。心を込めてやったので、スタッフも積極的に参加してくれました。グリーンツーリズムが定着してからは、メリットがより理解でるようになったため、皆は喜んで続けています」

一方、ホアホン観光サービス有限会社のファム・ヴ・ズン社長によりますと、この2年間、ホイアンの観光業は新型コロナの深刻な影響を受け、これからは、徐々に回復しながら、持続可能な開発を目指し、新しい方向に向かって進んでいかなければならない、それは、ホイアンを環境にやさしい観光地にするということである、としています。ズン社長は次のように語りました。

(テープ)

「ホイアンは観光商品や観光振興の方法を刷新する時が来ました。観光客を誘致しながら、観光の持続可能な開発を達成するには、この20年間の観光商品と観光振興の方法を変えなければなりません。振興の方法というのは「環境にやさしい」というものです。ホイアンの観光業者の多くは、この方法で観光を回復・発展させようと決意しています」

これまでに、プラスチックごみを出さないことに賛同している観光業者の数は60社を超えています。これから、ホイアンは、プラスチックごみを始め、ごみの削減をすべての観光業者の活動方針にし、中でも、環境への配慮を徹底したエコホテルと呼ばれる宿泊施設を2025年までに少なくとも100カ所にするという目標を掲げています。クアンナム省観光業者協会のファム・スアン・タイン会長は、「環境にやさしい観光」に関する基準を設定したと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「環境にやさしい観光を着実に進めるためには、定量的な基準を作る必要があります。例えば、どのぐらいごみを削減するのか、どのぐらい電気と水道を節約するのかの基準を定めます。クアンナム省並びにホイアン市は観光を経済部門のけん引役と見なしているため、観光の持続可能な開発を目指さなければなりません。環境にやさしい観光は必須だと思います。」

クアンナム省は2022年の国家観光年の開催地に選ばれており、「2022年の国家観光年」の開幕式が今月25日、ホイアン市で行われる予定です。「クアンナム・グリーン観光地」をテーマとした国家観光年はホイアンの「環境にやさしい観光」を一段と進めていくことでしょう。

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