街に響く「渡し船」の呼び声

(VOVWORLD) -道路交通も便利になって、現代的な街並みが広がるカマウ省にある立派な住宅の裏側には、今もなお人々を川向こうへと運ぶ小さな渡し船が日々行き交っています。
街に響く「渡し船」の呼び声 - ảnh 1船頭の一人、ラム・ビッチ・トゥイさん
現場の音 
カマウ市の旧市街を流れるカマウ川沿いには数多くの渡し場が見られます。これら
の渡し場は一箇所に集まっているのではなく、路地の突き当たりや船頭の自宅裏、あるいは人々が乗り降りしやすい場所に点在しています。かつて、橋が少なく交通も不便だった頃、人々はほとんど渡し船で川を渡っていました。街が発展し、道路や橋が整備された現在でも、川沿いの住民にとっては渡し船のほうが速く、便利だといいます。船頭の一人、ラム・ビッチ・トゥイさんは次のように述べました。
(テープ)
「橋を渡るのは足が疲れるんです。橋が高いからです。船ならすぐ渡れます。料金は3000ドンぐらいで、日本円で約20円で渡ります」
現場の音 
細い路地の突き当たりで、船頭のグエン・ヴァン・ファンさんが客を待っています。この20年間、ファンさんはこの川と共に生き、多くの変化を見てきました。今では川を往来する船の数も減り、以前の賑わいはありません。しかし徒歩や自転車で移動する人々にとって、渡し船は今も重要な足です。1日働いておよそ10万ドン(約600円)余りを稼ぎ、生活を支えています。ファンさんは次のように振り返りました。
(テープ) 
「昔はこの川もカントー市の水上マーケットのように船であふれていました。夜遅くまで人が行き交って、とても賑やかでした。今はバイクに乗れない人や急ぐ人が渡し船を使います。橋を渡ると遠回りで時間がかかるからです。」
街に響く「渡し船」の呼び声 - ảnh 2船頭の一人ゴー・タイン・チャウさん
一方、川沿いに暮らすチン・ドゥック・フォンさんの家は漁具店を営んでいます。毎月、自宅から数十キロ離れたところに仕入れに行く際、彼が選ぶのは小型モーターボートです。狭い道ではトラックが入れず、入り組んだ水路を走る船の方が効率的で、経費も抑えられるということです。フォンさんの話です。
(テープ)
車で運べない荷物はこの小型モーターボートで運びます。道が狭いですから。大きな荷物やかさばる品物は船で、小さいものは車で運びます。状況に合わせて使い分けています」
現場の音 
こうした渡し船の往来は、遠方から訪れる観光客にとっても魅力の一つとなっています。街の中心部からでも簡単に船を見つけることができ、川面から眺める景色は街のもう一つの顔を映し出します。船頭たちは川との暮らしを語り、訪れる人々はこの土地の素朴で温かな人柄に触れることができます。船頭の一人ゴー・タイン・チャウさんは次のように語りました。
(テープ)
「朝は市場へ行く人でいっぱいです。外国人観光客が写真を撮ったり、若者が映画の撮影で櫓を体験したりもします。」
車の往来で賑わう街中に響く渡し船の呼び声は人々の心に懐かしさを呼び起こし、水の都である西南部へ誘っています。

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