ベトナムの籐・竹製品に魂を吹き込み、世界へ送り出す人
(VOVWORLD) -ハノイ市フーギア村に住むグエン・ヴァン・ティンさんは、半世紀あまりにわたり籐・竹編みに情熱を注いでおり、450年あまりの伝統を誇る工芸村の価値を守り、発展させるだけでなく、若い世代にその伝統工芸への愛と、ベトナムの美術工芸の保存・発展に対する意識を伝えています。
ティンさん |
6代にわたって籐・竹編み職人として生計を立ててきた家庭に生まれ育ったティンさんは、幼い頃から編み物に親しんできました。彼は、自分は手先が器用なわけではありませんが、「伝統工芸を守り、発展させる過程において、忍耐強い心と仕事への愛情こそが、自分自身の『拠り所』となっている」と述べています。
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「私たちは独自の編み技術と、材料加工の技術を持っています。ここでは多様な編み方が存在し、編み作業の最大80%が籐を使っています。クロスステッチ技法は、手、目、そしてさらに言えば感情さえもが円滑に連携する必要があり、その技術は他の追随を許さないほど独特なものです。」
ティンさんによって造られた受賞作品 |
2006年、ティンさんの作品「吊り下げランプ」が、ベトナム商工会連盟主催の「ゴールデンV」製品デザインクリエイティブ賞で最優秀賞を受賞しました。その2年後、彼が編み上げた「籐編み花瓶」もまた、農業農村開発省(現:農業環境省)主催のベトナム手工芸品コンテストで最優秀賞を獲得しました。これらの受賞は、ティンさんにとって、ベトナムの籐・竹編み製品を世界の美術工芸品の地図に載せるという創造の道を進むための、さらなる原動力となりました。
ティンさんによりますと、持続可能な発展を望むならば、工芸村の職人は、伝統の「魂」を失うことなく、創造性を絶えず発揮し、新しい市場の嗜好に追いつく必要があるとのことです。この視点こそが、フーギア籐・竹工芸村の製品が、オーストラリア、中国、タイなど、世界各国での文化イベントや展示会でそのブランドを確立する助けとなりました。
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「私たちは職人としてのスキルを持っているため、お客様の基準やデザインに喜んで応じることができます。製品の80%が輸出向けで、国内需要に応じるのはわずか20%です。私の家族は輸出用の製品を作り、各国への輸出に貢献しています。」
ティンさんは、伝統工芸品の保存と発展を成功させ、工芸村の籐・竹編み製品を世界に送り出しただけでなく、村の若い世代や、この伝統的な創造に関心を持つ人々に、熱心かつ時間をかけて技術を教えています。
フービン村の住民であるホー・ホイ・ソンさんとチャン・ティ・リンさんは、次のように語りました。
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「ティンさんは、村人に技術を伝えることに大変熱心な方です。彼は、私たちの村の籐・竹編み工芸が常に守られ、発展していくことを深く願っています。私たちは彼をとても誇りに思っています」
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「私はここで10年働いています。ここに来て、ティンさんから多くのことを教えてもらい、指導していただきました。だから、ここに並ぶ製品はどれも美しいものばかりです」
ティンさんの情熱と粘り強い貢献は、フービン籐・竹編み工芸村の持続可能な発展に寄与し、何千人もの雇用を創出し、地域経済の成長を後押ししました。近年、フービン籐・竹編み工芸村は、EU、アメリカ、中国などの市場から、大量かつ高価格の輸出受注を一貫して受けています。
現代の市場と生活のペースの中で、多くの工芸村が存続に苦しみ、時間の経過とともにその痕跡が薄れていく一方で、フービン籐・竹編み工芸村が力強く立ち上がり、大きな変化を遂げていることは、ティンさんのような職人たちの貢献を明確に裏付けています。彼らは、単にベトナムの工芸村の「魂」であるだけでなく、適応、統合、そして発展の象徴でもあります。