(VOVWORLD) - ベトナムの旧正月「テト」、故郷を離れた人々が遠い異国で守り続ける伝統と家族の絆に迫ります。
母国から遠く離れて住むベトナムの人々は、旧正月テトが近づくと、居住国の生活ペースと仕事で忙しいにもかかわらず、だれもがベトナムの旧正月の伝統的文化を保存・発揮し、団結の精神を維持し源へ心を寄せることに取り組むほか、母国の発展への希望と信念といった多くの願いを胸にしています。
モロッコに50年以上住んでいるチャン・ティ・ホン・メイさんは、旧正月のあらゆる瞬間をいつも大切にしています。メイさんがベトナムから帰国してテトを過ごした伝統的旧正月の思い出について、身内の子どもや孫に話す機会を得られるように、いつも旧正月までの日数を数えていました。
メイさんにとって、遠く離れて文化が異なる国で旧正月を迎えると、母国や旧正月テトを懐かしむ気持ちは、さらに深まっています。
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「西暦の元旦を迎えるたびに、もうすぐ旧正月テトが来るのだなあと思い出します。その時、また、アルバムを開いて、ベトナムの写真を見ながら、身内の子どもと孫に、色々なベトナムのことについて話し、故郷に思いを馳せました。これを通じて、子どもたちが自らの出自を忘れないようにしています」
グエン・バン・ホアさん(写真: nhandan.vn) |
メイさんと異なり、グエン・バン・ホアさんはタイで半世紀以上前に生まれ育ちました。ホアさんの家族は現在、タイ中部のパトゥムターニー県に住んでおり、毎年、旧暦12月23日から、テトを迎えるためのあらゆる準備をします。
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「旧暦12月23日は、『オンコン・オンタオの日』と呼ばれる『かまどの神様の日』を祀る日です。私たちは、いつもこの伝統儀式を大切にしていて、次の世代が継承できるよう維持しています。旧暦12月23日に、きちんと準備して故郷の習慣と同じくするよう尽力します」
旧正月は、家族団らんの温かいひとときであるだけでなく、タイ人駐在ベトナム人にとって、コミュニティの再会の瞬間でもあります。900キロも離れたプーケット駐在ベトナム協会副会長を務めるチュオン・ティ・ベさんおよび、タイ東北部に位置するウドーンターニー県駐在ベトナム人協会会長は首都バンコクで行われる『故郷の春』というイベントで親戚や友達と再会し、ともに2025年の旧正月を迎えました。2人はその喜びを隠せずに、次のように語りました。
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「プーケットから来た私たちはここで集まって、皆と一緒に伝統的なお正月テトを迎える楽しい雰囲気で過ごし、非常に嬉しく思います」
「今年の故郷の春イベントは、首都バンコクで開催され、タイの26の県と町に住んでいるベトナム人多数が魅せられています。これは全員が十分に集まることとのできる機会であり、一年で貴重なひとときでもあると思います。とても感動しました」
グエン・ゴック・ティン会長(写真:nhandan.vn) |
タイ駐在ベトナム人協会のグエン・ゴック・ティン会長によりますと、ベトナム人にとって、旧正月テトは特別な意味があり、家族団らんの時でもあります。故郷から離れている人々はテトが近づくと家族の元に帰り、テトを楽しみます。
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「何千マイルも離れていますが、私たちの心の奥底から、テトは愛国心と同胞への思いやりと、神聖なつながりとしての役割を立派に果たしているといつも認識しています。ベトナム人にとって、祖国は常に強力な支えとなっています」
『故郷の春』イベントがをもたらす、暖かく親しみやすい雰囲気は、多くのベトナム人の母国に対する懐かしい気持ちを和らげるのにも役立つとしています。オーストラリア国立大学のチュー・ホアン・ロン准教授は、「毎年、いつもコミュニティの旧正月テトに参加する努力をしている。ベトナムの美しい文化と良き伝統を保存・発揮していきたい意向がある」と表明し、次のように語りました。
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「テトは、オーストラリアに住むベトナム人の大家族が集まる機会です。この家族は、多くのメンバーと世代から構成され、それぞれが異なる社会的責任と義務を持っていますが、共通する特徴は、自分たちの出自と文化を常に誇りに思っていることです」
西オーストラリア大学での「故郷の春祭り」で披露された踊り(写真:組織委員会) |
テトの団らんは、国外在住ベトナム人にとって、故郷への貢献について願いを共有する機会でもあります。これはベトナムが重要な転換期を迎えており、科学技術が今後の戦略的突破口として位置づけられている中で、特に重要です。
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「私たちは集いで、最近の祖国の変化について話し合い、皆は今年、国が大きく変動し、飛躍的な発展を遂げているという点で同意しました。私個人としては、国内の同僚との交流と協力を強化するよう、常に努めています。もう一つは将来、祖国への貢献を期待して、強固な国外在住ベトナム人コミュニティの構築に取り組みます」
「ベトナムは最近、インフラや社会経済の発展において目まぐるしい速さで発展しています。現在、私たちは故郷にそれほど多くの貢献はできていませんが、心の中では常にいつか帰国して、自分の力と知恵を故郷のために捧げたいと願っています」