北部山岳地帯ハーザン省は石が土地より多いという自然条件に恵まれています。現地住民は石の上で、生活したり、栽培、畜産を行ったりしています。さらに、死ぬ時も石の中に埋葬されるのです。ですから、彼らにとって、大地は金属より貴重なものとして存在しているかにみえます。
こうした背景から、メオバク県シンカイ村に暮らす少数民族モン族のリ・シア・シンさんが、学校建設のために300平方メートルの土地を提供した事は広くれ渡りました。それだけでなく、飢餓一掃貧困解消運動に先駆けた人でもあります。
シンさん
20年間あまりにわたって、シンカイ村の村長を務めるシンさんは小さなことでも村人を助けていました。シンさんは次のように語りました。
(テープ)
「私は1993年からシンカイ村の村長を務めました。1993年以前の現地住民の生活はとても大変でした。食糧不足ばかりでした。しかし、1993年以降、住民の生活は改善されてきました。彼らは、主に、畜産、酒づくりに従事し、コメを主食にするようになりました。」
ところで、ハーザン省の土壌と気候はトウモロコシの栽培に適していますので、かつて、トウモロコシの茹でた粉は主食でした。その後、シンさんは稲作りの先駆人になりました。シンさんは次のように語りました。
(テープ)
「自分自身が先駆けて行動しなければ成りません。そうすると、住民は真似して行動するのです。私も先駆けて棚田を作りましたよ。土が少ないけれども、生産量が高かった為、現在、皆は棚田で稲を栽培しています。ここでは、稲は年間一回だけです。6月に田植えをし、年末年始に収穫します。」
現地では、トウモロコシの栽培の他、牛は主要な家畜です。一世帯は平均1頭~2頭の牛を飼っています。以前、彼らは、十分を牛にエサに食べさせる為に、毎日遠いところまで連れて行かなければなりませんでした。そこで、シンさんは牛の食用植物としてイネ科の多年草ネピアグラスの栽培に先駆けました。
シンさんは次のように語りました。
(テープ)
「以前、政府から補助金を受けて、3ヘクタールの土地にネピアグラス栽培をしました。お陰で、住民は、遠いところまで草刈りに行かなくても、牛にエサを十分に与えるようになることが分かり、ネピアグラスの栽培をしました。現在、遠くまで牛を連れて行かなくてもよくなりました。」
それだけでなく、シンさんは現地住民に野菜の栽培や畜産に励んでいます。例えば、こんなことです。
(テープ)
「我が家は13人家族ですが、年におよそ1~2トンの籾が余ります。そこで、貧しい家庭に籾を市場より安い価格で売ります。助け合いの精神ですから。」
こうした貢献により、シンさんは現地の行政当局と住民に信頼と尊重されています。シンさんについて、シンカイ村人民委員会のグェン・バン・バン委員長は次のように語りました。
(テープ)
「シンさんは現地で常に稲作をはじめ、家畜の畜産を先駆けて行ないました。現在、およそ20世帯がシンさんを真似して、豊かな生活を送れるようになりました。」
シンさんは現地住民の生活改善に寄与すると共に、村の子供の学習に配慮しています。かつて、子供たちが仮設ハウスで勉強しなければなりませんでした。
そこで、「チルドレンとヘルス」という協会が教室の新設に援助をしましたが、建設予定地がなかったため、シンさんは300平方メートルの自分の土地を提供したのです。シンさんは次のように語りました。
(テープ)
「各世代の生徒が充実した教室で学習できるように、我が家は土地を提供したのです。その建設工事は急ごしらえで建設しましたが、こんな立派な学校になるとは思いませんでしたよ。私たちはこの学校の保護に責任を果たします。」
現地住民の生活改善と農村部の変更に寄与してきたリ・シア・シンさんの手本はさらに拡大されることを祈ります。