クメール人の結婚式


ベトナム南部に居住している少数民族クメール族にとって結婚式は人生で最も重要な出来事です。今日の結婚式は昔のままの習慣や儀式で行われるので、この民族の伝統文化を物語るものです。

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クメール人の新夫婦(写真:camnangcuoihoi.com)

クメール人の結婚式は、農閑期である旧暦1月から3月までの間に行われるのが一般的です。アンザン省チトン県に住むチャウ・チャン・ダさんは、ほとんどのクメール人と同じように、息子の結婚式を伝統的なやり方で行なうことにしました。息子たちは2年間の付き合いを経て結婚に至りました。

結納式は結婚式の最初の儀式で花嫁の家で行われました。花婿の家族は結納品として果物やお餅のほか、花嫁の結婚式用の衣装代のお金を用意しました。5つの音色を出す音楽いわゆる5音色音楽の演奏は結納式に欠かせません。

(5音色音楽の音)

結納式の冒頭、2人の媒酌人が花婿と花嫁の家族を代表して挨拶をしました。媒酌人はその一族の中でも権威ある人で、幸せな家庭で、クメール人の風習をよく理解していなければなりません。花婿の父チャウ・チャン・ダさんは次のように話しました。
(テープ)

「権威ある人で、風習をよく理解している人にしか頼みません。そうでない人には頼まないよ。結婚式にはとても難しい儀式があるんです。」

結納の席で、両家は結婚式の日取りを決めます。結婚式は、かつて3日間続けて行われましたが、現在、2日だけで行われるのが一般的です。

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婚礼用具を受け取る(写真:camnangcuoihoi.com)

クメール人は母系社会なので、結婚式は花嫁の家で行われます。1日目の早朝、花婿の家族は媒酌人の案内で、花嫁のうちへ婚礼用具を持参します。その中には、必ず花嫁にプレゼントするスカーフと装飾品があります。

花婿の家族が到着する前に、花嫁の家族は花嫁の清純さを象徴する意味で正門に鍵をかけます。花婿の家族が着いたら、花婿の家族の代表は、花婿が来たことを告げるため、木製の剣を3回廻します。これを受けて、花嫁の家族は銅鑼を鳴らし、花婿の家族に立ち入りを許可します。派手な民族衣装を着た花嫁は2人の介添人と共に、ブーケを持ちながら、花婿を迎えます。花婿と花嫁はお互いにブーケを渡し合ってから、音楽の音に合わせてみんなの祝福を受けながら、家へ入ります。

(音楽の音)

家の中では、双方の家族に新夫婦を紹介する儀式や、花嫁にスカーフと装飾品を贈呈する儀式、祭壇の前で先祖を礼拝する儀式などが行われます。その中で、花嫁介添人が新夫婦のまわりを回って踊ったり歌を歌ったりしながら、時にハサミで新夫婦の髪を切り取るような動作をしながらの儀式もあります。この儀式は、新夫婦の生活に悪いことが起こらないように行われるものです。そして、その晩は、お坊さんが花嫁の家で読経して新夫婦の幸せを祈願します。

クメール人の結婚式 - ảnh 3
花嫁と花婿の手首を糸で縛る儀式
(写真:camnangcuoihoi.com)

2日目は本格的な結婚式です。この日に、花嫁と花婿の手首を糸で縛る儀式、新夫婦の部屋を開ける儀式などが行われます。花嫁のタック・ティ・ニョンさんは次のように話しました。
(テープ)

「私の結婚式がクメール人の伝統的な方式で行われたことを誇りに思っています。結婚式の多くの儀式はクメール人ならではのものなんです。」

今日のクメール人の結婚式は現代生活の影響で変化した部分もありますが、ほとんどの儀式は昔のやり方で行われています。そういう意味で、結婚式はクメール人の伝統文化の保存につながると言われています。


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