クメール族 最大の祭り「オクオムボク祭り」へ向けて

(VOVWORLD) - この1か月、南部メコンデルタのソクチャン省に暮らす少数民族クメール族は、11月25日から27日まで行われる「オクオムボク祭り」を準備しています。クメール族の最大の祭りである「オクオムボク祭り」は、コミュニティのつながりを示す文化・スポーツ活動であり、クメール民族にとって特別な意味を持っています。

ベトナムの54の民族の内、130万人の人口を擁するクメール族は最も人口が多い少数民族の一つで、チャビン省、ソクチャン省、アンザン省など、南部メコンデルタの各省に集中的に居住しています。オクオムボクとはクメール語で、「月の神様を拝み、豊作を祈願する」という意味です。クメール族の信仰では、月の神様は天候と作物を管理しています。ですから、オクオムボク祭りで一番重要なのはお月さまを礼拝する儀式で、この儀式は旧暦の10月15日の夜に行われ、場所はお寺でやるのが一般的ですが、家で行なうこともあります。

クメール族 最大の祭り「オクオムボク祭り」へ向けて - ảnh 1ボートレースの練習

月が昇ると、村人は月に向かって儀式を始めます。儀式はお寺の僧侶か村で威信のある長老が司ります。礼拝が終わった後、主宰者は、子どもにお供え物を与えながら、希望を聞きます。子どもの答えは村人の希望にもなります。最後に、みんな、お供え物を食べながら、歌を歌ったり、お互いの豊作を祝ったりします。

オクオムボク祭りで、お月さまを礼拝する儀式のほか、灯篭流しやボートレース、民間遊戯、伝統的な踊りなど様々な活動も行われますが、その中で、祭りの目玉である活動は「ゴー」という船のレースです。「ゴー」(Ngo) と呼ばれる長さ22メートルから24メートルの細長い船は、クメール族の精神の拠り所で最も重要であり、寺院で大切に保管される村の重要な財産でもあります。レースは、約50人の男性が「ゴー」に乗ってスピードを競い合います。

ボートレースの準備のために、祭りの 1 か月前、村人の青年は集まって練習を始めました。ソクチャン省チヤウタイン県フータン村に暮らすリー・チーさんはこの1か月間、毎朝通常より早く起きて畑仕事をはじめました。チーさんがいつもより早く仕事に出かけたのは、畑仕事が終わるとすぐにチャンパ寺に行って、ボートレースの練習をするためです。チーさんは今年まだ31歳ですが、ボートレースに参加するチャンパ寺のチームの主力選手として、この4年間、オクオムボク祭りのボートレースに出場しています。 チーさんの話です。

(テープ) 

「私は畑仕事を終えて、チャンパ寺へボートレースの練習をしに行きます。これは、お寺のチームがレースでよい成績を収めるとともに、自分の健康を維持するためです。祭りでソクチャン省の各寺のボートが集まって競い合うので、とても興奮します。ソクチャン省がクメール族のオクオムボク祭りの開催に関心を払ってくれており、とてもうれしく思っています」

クメール族 最大の祭り「オクオムボク祭り」へ向けて - ảnh 2レースに参加するボートを飾る

(現場の音)

チームがボートレースを練習するときにも、チャンパ寺は村人の歓声で活気に満ちていました。チャンパ寺のチームのコーチ タック・ヒエウさんは次のように語りました。

(テープ)

「新しい選手の場合は1ラウンドで7、8分、経験のある選手がいる場合は1ラウンドで10分以上練習します。毎日そうやって 4 、5 ラウンドの練習をしています。選手たちは年々上達していると思います」

チャンパ寺管理委員会の責任者ラム・ビン・ミン氏は、オクオムボク祭りのボートレースは地元の住民にとって最大の楽しみであると述べ、次のように語りました。

(テープ)     

「若者は皆、寺を大いに支援しています。チャンパ寺は長年ボートレースに参加しています。これはクメール族の文化的アイデンティティを維持する機会なのです」

オクオムボク祭りは、ソクチャン省の観光をPR・促進する機会でもあります。ソクチャン省は、祭りを通して、観光インフラを開発するための投資リソースを誘致し、観光開発に対するコミュニティの意識を高めることが狙いです。ソクチャン省文化スポーツ観光局のチャン・ミン・リー局長は次のように語りました。

(テープ)

「オクオムボク祭りは、長年にわたって維持されてきたクメール族の伝統的な祭りです。私たちは、ソクチャン省の潜在力に見合う観光開発を目指し、この祭りをさらに維持・開発することに力を入れています」

こうしたオクオムボク祭りは、クメール族の伝統文化の保存と開発だけでなく、地元の観光産業の発展を促進させていると言えるでしょう。

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