クメール族のカティナという儀式

(VOVWORLD) - カティナ儀式では、衣の他、仏教用の瓶やお盆、そして、僧侶の生活に必要な米や食品、薬などもお布施されます。
クメール族のカティナという儀式 - ảnh 1クメール族のお寺

南方仏教では、仏教徒たちが僧侶たちに衣をお布施する法事であるカティナ儀式は最も重要な法要の一つとされています。ベトナム南部メコンデルタに居住している少数民族クメール族は南方仏教を信仰しているので、毎年の旧暦9月15日から10月15日までカティナ儀式を大規模で行い、僧侶に衣をお布施し無量の徳を積むことを通じて、村の平穏な生活や幸福、豊作などを祈ります。

衣のお布施は決して珍しいことではなく、日常茶飯事に行う功徳行なのです。先祖の供養、誕生祝い、結婚、出産祝いなどのありふれた記念日にも、お坊さんたちに衣をお布施して祝福してもらうことを当たり前のように行っています。しかし年に一度、夏の雨ごもりに似た雨安居明けに衣一着をお布施する特別な法要があります。カティナ衣のお供えという意味です。ただの衣ではなく、カティナ衣になるのです。

クメール族のカティナという儀式 - ảnh 2衣をお布施する仏教徒

こうしたカティナ衣をお布施することはクメール族にとって大きな誇りであり、1年の最大の願望でもあります。南部カントー市ニンキエウ区に住むグエン・ティ・ミ・リンさんは、ピトゥ・コサ・ランセー寺の今年のカティナ儀式の担当者として選ばれました。リンさんは約1年がかりで今年のカティナ儀式の準備をしてきたと、次のように語りました。

(テープ)

「カティナ儀式はクメール族の人々にとって最も重要で大きな法要なので、千人もの仏教徒がお寺へ行って衣をお布施するのが一般的です。しかし、今年は新型コロナの影響でお寺へ行って衣を布施することができたのはわずか数十人です。今年はいろいろな困難があったものの、カティナ儀式の担当者として儀式を行うことに全力を尽くしてきました。本当にうれしく思います。」

クメール族のカティナという儀式 - ảnh 3お布施された衣を着用しているお坊さん

カティナ儀式では、衣の他、仏教用の瓶やお盆、そして、僧侶の生活に必要な米や食品、薬などもお布施されます。カティナ儀式は2日間行われるのが一般的です。1日目は、儀式の担当グループが仏教徒の家を回ってお布施物を受け取った後、僧侶が仏教徒の家を回って村の平穏な生活を祈ります。2日目は、カティナ儀式の行列が行われます。行列で仏教徒らは「サザム」という伝統的な舞いなどを踊りながら、お寺へお布施物を運びます。仏教徒がお寺についたら、僧侶らはお寺の本堂でカティナ儀式を行います。カントー市ニンキエウ区に住むバイン・ゴック・フォンさんは次のように話しました。

(テープ)

「カティナ儀式に参加することができてうれしく思います。今年は例年と同様、全ての儀式が十分で盛大に行われたと思います。新型コロナの収束後、より多くの仏教徒が参加することを希望します。」

新型コロナの影響で参加者数が限られましたが、カントー市にある南方仏教のすべてのお寺がカティナ儀式を行いました。カントー市仏教協会執行委員会の副委員長を務めるリ・フン和上は、新型コロナ禍でもカティナ儀式が行われたことは仏教徒の団結を強化するとともに、新型コロナ禍で多くの困難に直面している仏教徒を大いに励ましたと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「仏教徒らが僧侶に衣をお布施することは福田の現われです。衣を布施した仏教徒は大きな幸福を受けるでしょう。一人の僧侶がこうした衣を着用することは、そのお寺にいるすべての僧侶が、お布施された衣を着用したことを意味します。」

こうしたカティナ儀式はクメール族のコミュニティのつながりを強めるものとしてこれからも大切にされることでしょう。

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