受け継がれる味 クホ族の蒸しトウモロコシ餅

(VOVWORLD) - ベトナム中部のラムドン省に暮らす少数民族クホ族の人々にとって、トウモロコシは特別な食材です。この地域では昔から、トウモロコシを使った様々な料理が作られてきました。トウモロコシご飯に始まり、酸っぱい粥や温かい粥、甘いぜんざい風のお菓子まで、実に多彩です。そんな中でも、ひときわ愛されているのが「蒸しトウモロコシ餅」です。
受け継がれる味 クホ族の蒸しトウモロコシ餅 - ảnh 1クホ族の蒸しトウモロコシ餅

この餅は、もともとクホ族の女性たちが家族のために手作りしていた家庭料理でした。ところが今では、多くの家庭にとって大切な収入源となっています。

タンホイ村のスレ・ダン集落で、代々この餅作りを受け継いでいるのが、リエン・ホット・カ・ヒエンさんの一家です。カ・ヒエンさんが年を重ねた時、長年つちかった餅作りの技を家族の女性たちに丁寧に教え込みました。その教えを受けたのが、カ・ヒエンさんを叔母と慕うジ・ジャクさんです。

ジ・ジャクさんは、美味しい餅作りの秘訣を次のように話してくれました。

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「一番大切なのは、トウモロコシの品種選びですね。私たちが自分で育てている黄色いもち種のトウモロコシが最高なんです。熟し具合も重要で、熟しすぎても若すぎてもダメ。ちょうど良い頃合いを見極めれば、もちもちした理想的な食感になります」

作り方自体は決して難しくありません。集落の女性たちは、ほぼ全員がこの餅の作り方を知っています。現在は白いもち種のトウモロコシを使うことが多くなりました。この品種は味が良い上に、黄色い品種より収穫量が多く、早く収穫できるからです。

受け継がれる味 クホ族の蒸しトウモロコシ餅 - ảnh 2トウモロコシは、風味を損なわないよう、早朝に収穫してすぐに加工します。

地元に伝わる知恵では、よく育ったトウモロコシは早朝に収穫するのが一番だとされています。収穫したらすぐに調理することで、香りと味わいを最大限に生かすことができるのです。

ジ・ジャクさんが作り方を教えてくれました。

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「収穫したトウモロコシの皮をむいて、一本ずつすりおろします。それを粉砕機にかけて、砂糖と牛乳を少しだけ加えるんです。入れすぎると、せっかくのトウモロコシの自然な美味しさが台無しになってしまいますからね。最後に、とっておいたトウモロコシの皮で包んで、2時間ほど蒸せば出来上がりです」

忙しい現代では、手作りよりも購入を選ぶ人が増えています。そのおかげで、この餅は立派な商品として成り立ち、インターネットでも販売されるようになりました。

カ・ヒエンさんの長女レベッカさんは、母から受け継いだ伝統を大切に守り続けています。

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受け継がれる味 クホ族の蒸しトウモロコシ餅 - ảnh 3レベッカさん

「時間のやりくりは大変ですが、必ず自分の手で餅を作っています。家族のためでもありますし、販売することで家計の助けにもなります。でも何より大切なのは、私たち子孫の世代が、民族の伝統技術をしっかりと受け継いでいくことなんです」

この一家の常連客であるロ・ム・リヴィオさんは、こんな風に話してくれました。

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「蒸しトウモロコシ餅は私たちクホ族みんなが知っている料理です。でも、商売として成り立たせているのは、この集落ではレベッカさんの家族だけなんです。とても美味しくて清潔で、安心して買うことができます。伝統を守りながら生活も向上させている、素晴らしい取り組みだと思います」

今では省外からも注文が来るほど評判の蒸しトウモロコシ餅ですが、カ・ヒエンさんが一番誇りに思っているのは、家族みんなが民族の伝統を大切に守り続けていることです。小さな集落から始まった伝統の味が、新しい時代にも確実に受け継がれています。

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