(VOVWORLD) - 西北部ディエンビエン省トゥアチュア県に暮らすサファン族は、独自の文化を大切に守り続けている少数民族の一つです。彼らの伝統的な衣装は、特に女性たちの丁寧な手仕事によって、その美しさと独自性を保ち続けています。
サファン族の伝統衣装 |
オアン・ヴー・スエンさんをはじめとする女性たちは、暇な合間をぬって、民族特有の靴や衣服を一針一針丁寧に仕上げています。サファン族は鮮やかな色彩を好み、その衣装は目を引く華やかさが特徴です。スエンさんの話です。
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「現在、私は サファン族の女性用の民族衣装を縫っているところです。この衣服の刺繍には10日ほどの時間がかかります。女性の衣服には、ピンク、青、白の花々が丁寧に刺繍されています。対照的に、男性の衣服は白と黒の二色のみで仕上げられています」
女性の衣装は、丸首で体にフィットするデザインとなっています。さらに、熟練した職人が小さな銀の装飾を施し、衣服に高貴な美しさを添えています。タシンタン村のオアン・ルン・センさんは次のように語りました。
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「衣服を一目見れば、それが若者向けであることがすぐにわかります。15歳から30歳の若い女性は、鮮やかで派手な色の衣服を好んで着用します。一方、高齢者や中年層は、黒などの単一の落ち着いた色の衣服を選びます。若者は、よりカラフルで目を引く色彩を好む傾向があります。興味深いことに、衣服のデザインや色使いから、未婚か既婚かを見分けることができるのです」
男性の伝統衣装は、女性のものとは対照的にシンプルです。ズボンとシャツで構成され、ボタンは完全に手作りされます。多くのボタンが密集して並び、わずかに異なる色の布でアクセントが加えられることもあります。
伝統的な靴を作っている女性たち |
サファン族の伝統衣装において、最も際立った特徴は手刺繍の靴です。2021年に国家無形文化遺産に認定されたこの靴は、民族の独自性を象徴しています。足にぴったりとフィットし、鮮やかな刺繍で飾られた靴は、見る人を魅了します。オアン・ルー・センさんは次のように語りました。
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「靴の模様は、昔から受け継がれてきた伝統的なデザインに根ざしています。しかし、現代の若い世代はより創造的になり、自分たちの好みに合わせて、これまでよりもさらに美しい模様を生み出しています。以前は高齢者が手がける刺繍は単純でしたが、今日では複雑で洗練されたデザインへと進化しています」
靴の製作は興味深い伝統を持っています。靴の底は、竹の若芽の外側の葉で作られ、すりつぶしたヤマイモの根から作られた接着剤で何層にも貼り合わされます。糸は森で採取した樹皮から慎重に作られ、耐久性を高めるためにナイロン糸も追加されます。タシンタン村のオアン・ルン・センさんはさらに次のように語りました。
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「サファン族の靴には、大きく分けて3つの種類があります。若者用、高齢者用、そして子供用です。特に子供の靴は年齢によって異なるデザインになっています。通常、子供は3歳から靴を履き始め、女の子の場合は1歳からすでに足を包むための小さな靴があります。男性用の靴は豊かな模様で彩られ、年齢によって異なる特徴があります。中年層の靴はシンプルな模様、若い世代の靴はより複雑で華やかな模様となっています。熟練した目であれば、靴のデザインから履き主の結婚歴までもわかるのです」
サファン族の手仕事は、単なる技術の伝承以上の意味を持っています。家族や共同体内で受け継がれるこの伝統は、彼らの前向きな生活態度、勤勉さ、忍耐強さを体現しているのです。
トゥアチュア県タシンタン村に今日まで保存されてきた手刺繍の靴や伝統衣装は、もはや日常の衣服や道具ではありません。それらは洗練された芸術作品であり、トゥアチュアの石灰岩高原に生きるサファン族の独自の文化を雄弁に語る存在なのです。