サンチ族の結婚

(VOVWORLD) - 東北部クアンニン省ビンリエウ県に暮らす少数民族サンチ族にとって、春は様々な生物が目覚め、数多 くの新 しい生命が誕生し、 躍動に満ちた季節であると同時に、結婚シーズンでもあります。ビンリエウ県のサンチ族の結婚はユニークで大切に保たれています。
サンチ族の結婚 - ảnh 1花嫁の家へ婚礼用品を持っている花婿の家族

サンチ族の結婚では、顔合わせ、占い、婚礼用品の請求、結納、花嫁の迎えなど様々な儀式が行われます。中でも、花嫁を迎える式はサンチ族の結婚の独自性を示すものとされています。

(テープ)現場の音

お聴きいただいているのは、花嫁を迎える式で歌われた民謡「ソーンコ」です。歌垣の形で歌われる「ソーンコ」は、日常生活をテーマとしたもので、サンチ族の人々の考えや心、習慣などがわかると言われています。花嫁を迎える式では、男性の家族の媒酌人が女性の家の前に着いた時、女性の家族と歌垣をしなければなりません。歌垣で女性の家族に勝てば、家に入れますが、負ければ、酒を飲まなければなりません。飲めないと、頭から酒をかけられます。ビンリエウ県ルックホン村ガンファット集落に暮らすチャン・ホック・カムさんは今年68歳で、長年結婚式の媒酌人を務めています。カムさんの話です。

(テープ)

「結婚式で民謡ソーンコを歌うのは昔から伝わる習慣で、守り続けなければなりません。歌垣で歌うことにより、天と地と人間とで互いに分かち合うことができるからです。また、歌により、結婚式の雰囲気がより賑やかで楽しくなります」

サンチ族の結婚 - ảnh 2花嫁は必ずサンチ族の民族衣装を着用

結婚式では、花嫁は必ずサンチ族の民族衣装を着用しなければなりません。サンチ族の民族衣装は地味ですが、個性を誇りにしています。花嫁は刺繍もない藍色のシャツとスカートを身に着けますが、ベルトは赤や緑のシルクで目立ちます。また、藍色のずきんで髪を包むのが一般的です。そして、花嫁の衣装に欠かせないのが新しい洗顔タオルです。ビンリエウ県ルックホン村に暮らすチュ・ティ・ハインさんは、結婚式で花嫁が左手に持つ洗顔タオルは花嫁の上品さを示すものであると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「花嫁が花婿の家に着いたら、花婿の両親から1本の傘と1枚のタオルを受け取ります。傘は雨除けと日差し除けのためで、タオルは花嫁が自分の顔を覆い、恥ずかしさと上品さを示すものです。かつての結婚式ではタオルで顔を覆っていましたが、現在は左手で持つだけです」

サンチ族の結婚式のもう一つの特徴は、婚礼用品や人数がいずれも偶数でなければならないということです。偶数は余裕や調和、幸福の表われだと考えられるからです。例えば、花嫁を迎える式に加わる花嫁の家族は8人で、その中には花嫁の親戚4人のほか、花嫁の介添人と花嫁の友達がそれぞれ2人ずついます。

そして、新婚夫婦は幸せな生活を送っている人を養父母にする習慣があります。サンチ族は新婚夫婦が養父母を模範とし、幸せな生活を送ることができると考えるからです。花婿の家族は養父母に24個の餅と20キロの豚肉を贈るのに対し、養父母は花嫁に衣装や布団などを贈ります。養父母のチャン・ヴァン・ゾンさんは次のように語りました。

(テープ)

「結婚式の二日目に新婚夫婦は養父母を決めて申し込みに行きます。養父母を合わせると、合計で6人の親がいることになり、生活も仕事もスムーズになると考えられます。結婚後は、お正月に養父母にプレゼントをしなければなりません」

春にビンリエウ県を訪れ、サンチ族のユニークな結婚式に遭遇することができるラッキーな人はきっとその風景に魅了されることでしょう。

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