水の導管を敷いている村人

ソダン族は、中部高原地帯テイグエン地方に暮らす12 の先住民族の 1 つで、豊かでユニークな伝統文化で知られています。ソダン族は神に感謝するために、農耕に関する儀式を敬意をもって定期的に行っています。それらの儀式の1つは、「水の導管をしく儀式」です。

「水源を祭る儀式」とも呼ばれるこの儀式は、使用している水源の質と量が保たれなくなったとき、村が新しく設立されたとき、または年末に新米を祝うために行われる崇拝の儀式です 。

コントゥム省ダクト県に暮らすソダン族の職人ア・ケンさんは、「水の導管をしく儀式」の前に、村全員が水源に集まり、片付けや儀式の準備を行うと述べ、次のように語りました。

（テープ）

「新年の準備の一つとして年末に行われます。新しい水の導管をしかなければなりません。昔から、ソダン族は水源から村に水を流す導管を作ることに細心の注意を払ってきました」

ソダン族は、食べ物や衣服よりも水が何よりも重要であると考えています。清浄な水源のおかげで暮らしが豊かになるので、「水の導管をしく儀式」を行うのは、水の神、山の神、川の神に、そこに村人が住んでいることを知らせ、健康や豊作を祈るためです。

コントゥム省文化スポーツ観光局のファン・ヴァン・ホアン副局長によりますと、ソダン族にとって、水源は毎年手入れする必要があります。手入れすれば、水源が確保されるだけでなく、水がより美味しくなると考えられています。水源がキレイであれば、神々は常に村人を気遣い、助けてくれるだろうと信じられています。ホアン氏の話です。

（テープ）

「ここの人々にとって森はとても神聖な場所で、立ち入ることすら恐れます。そこには、木々が生い茂っており、村の水源があります。そこで村の長老は儀式を行う日を選び、村人は水の導管を手入れするために森へ行きます」

「水の導管をしく儀式」

きれいな水源と導管は、村にとって特に重要です。そのため、導管を作るためによい材料を集めることは、村の有力者・人格者が担当します。導管の材料としては竹が一般的です。先ほどのホアン氏は次のように語りました。

（テープ）

「竹筒を半分に割り、神聖な森の水源から村まで引き延ばします。そこから、村人たちはきれいな水を使用できるようになります」    

儀式を執り行う人は水源をしっかりと密閉し、儀式が終わるまで導管に水が流れ込まないようにしなければなりません。お祈りの後、村の長老は導管に水が流れるようにし、子孫たちに、常に健康で豊かになるように、水源を清潔に保つように教えます。

「水の導管をしく儀式」を行う日に、村の各世帯は儀式後に水を家に運ぶための大きな竹筒を準備します。この水は、生活用水として使われる導管の中に流れる水とは異なり、神様からその世帯に与えられる幸運のシンボルで、祭りなどで飲む地酒作りに使用されます。ダクト県ダクト町に暮らすイー・シンさんの話です。

（テープ）

「世帯ごとに大きな竹筒を持って水を持ち帰ります。それは、その年の無病息災と豊作を祈願するためのものです」

この機会に、村を訪れる人は、村人と一緒に地酒を飲んだり、銅鑼の演奏を楽しみ、歌い、村の新しい水源を祝うことに招待されます。