（テープ）雨乞い祭りの現場の音

モクチャウ県ムオンサン村ナーボ集落に暮らすロ・ティ・タップさんは、タイ族にとって雨乞い祭りは最も重要な年中行事の一つで、誰もが、この祭りを楽しみにしていると述べ、次のように語りました。

（テープ）

「雨乞い祭りは、農作物が順調に成長するよう、雨が降るのを神仏に祈る行事です。豊作になれば、村人の生活が豊かになるからです」

「万物の木」は雨乞い祭りの中心です。

雨乞い祭りが行われる1か月前になると、村人は、村や家の大掃除をしたり、もち米や魚、鶏、卵、タケノコなどお供え物の材料を用意したりするなど祭りの準備を始めます。中でも祭りに欠かせないのは「万物の木」です。「万物の木」は、祭りの開催場所の中心に立てられる木か竹で、その先には、竹で編んだ鳥やセミの形をした飾り物、および卵殻や貝殻を入れた小さな籠がかけられます。小さな籠は、水中で暮らす貝も死んでしまうほどの干ばつを表わす一方、鳥やセミの形をした飾り物は村人の願いを神様に届けるものであるとされます。こうした「万物の木」は干ばつのせいで人間が苦しい生活を送っていることを示すものです。「万物の木」の周りにはおこわや鶏肉、豚肉、果物などのお供え物が並べられ、村人が信心深いことを示します。モクチャウ県ムオンサン村ナーボ集落の村長ルオン・ヴァン・シンさんは次のように語りました。

（テープ）

「雨乞い祭りを準備するため、私たちは会議を開き、女性の会や高齢者の会など村の各団体の役割分担を決めました。皆は、万物の木を立てたり、お供え物を用意したりするなど喜んで祭りの準備をしていました」

村人は全員、村の水源へ雨乞い祭りに使われる水を取りに行きます。

雨乞い祭りの開催日の早朝、村の祈祷師と村長は、民族衣装を着て村の家を回って、村人を祭りに招きに行きます。村人は全員、村の水源へ雨乞い祭りに使われる水を取りに行きます。その後、祭りの開催場所へ行って祭りを始めます。祈祷師は村人を代表し、雨が降るように神様に祈る儀式を行います。

（テープ）祈祷師が祈っている言葉

祈祷師は、雨が降らない時の困難を語り、雨が降るように神様に祈ります。儀式が終わる前に、祈祷師は神様を代表して、雨が降るようにし、村人に良い天候と豊作を与えてくるとします。

モクチャウ県の文化スポーツ課のディン・ティ・フオン課長は、タイ族の雨乞い祭りは豊作と豊かな生活に対する人間の願望だけでなく、人間と自然との強いつながりを物語るとし、タイ族の信仰と宇宙観の一部を示すと述べ、次のように語りました。

（テープ）

「雨乞い祭りはタイ族が良い天候と豊作を祈るために行われるものですが、モクチャウ県はこの祭りを魅力的な観光商品と見なしています。現在、モクチャウ県はタイ族の雨乞い祭りが国の無形文化遺産として認められるように準備中です」

雨乞い祭りの維持と開発はタイ族の伝統的な信仰を守るとともに、モクチャウ高原を訪れるより多くの観光客を引き付けられることが期待されています。