ハニー族の神聖な石「白髪の老人」とは

(VOVWORLD) - 中国と国境を接しているベトナム北西部ライチヤウ省ムオンテ県パタン村には、珪岩の白い石があります。周辺に住む少数民族ハニー族は、この石を「白髪の老人」と呼び、国境を守るために天の神様から頂いた貴重なものとみなしています。
ハニー族の神聖な石「白髪の老人」とは - ảnh 1 「白髪の老人」

高さ170センチのこの石は遠くから見ると、沈座していて谷川に顔を向けているお年寄りの男性の姿をしています。ハニー族の伝説によりますと、この石は、谷川を渡るとき洪水に流された妻のことを思い出した夫の化身とされています。また、中国との国境線からわずか10メートル離れたところにあるこの石は、両国の自然的な国境標識としても見なされています。

ハニー族にとって、「白髪の老人」は神聖な石で、健康や幸運などを祈れば、与えてくださる神様だと考えられます。そのため、年に1回「白髪の老人」を祀る儀式を行わなければなりません。この儀式は年末に行われますが、十二支の寅(とら)にあたる日に行われます。この日は12日ごとに巡ってくる吉日のことであり、トラが森の王様なので、吉日の中で最も良い日でもあるからです。そして、十二支の寅にあたる日はハニー族にとって日曜日なのです。

トゥルム村に住むハニー族の一人チュ・ゴ・ポさんは次のように話しています。

(テープ)

「周辺の祈祷師たちが集まって儀式の主宰者に選ばれるようにくじを引きます。くじは草の茎で、最も短いくじをとった人は儀式の祈祷師に選ばれます。選ばれた祈祷師は、神様と連絡ができる人だと信じられています。」

ハニー族の神聖な石「白髪の老人」とは - ảnh 2

儀式の祭壇は、葉がそのままついている4本の枝を土に突き刺してから、竹で編んで3階の祭壇にします。儀式のお供え物として欠かせないものは、1匹の黒い豚、2羽の鶏、赤く染められた3個の卵、コメを入れた3つの茶碗、お茶を入れた3つの茶碗、お酒を入れた3つの茶碗、そして、タバコです。その中で、タバコはどうしても欠かせないものです。トゥ・ルム村に住むチュ・セ・ルさんは次のように話しています。

(テープ)

「タバコがないと、ダメですよ。かつては線香がなかったので、線香の代わりにタバコを使ったんです。その習慣はずっと続いていて、今もなお、タバコを使っています。」

この石がベトナムと中国の国境線にありますので、儀式のお供え物としてベトナムの通貨「ドン」のほか、中国の人民元の札も数枚祭壇に置かれます。そして、糸も用意しなければなりません。先ほどのチュ・ゴ・ポさんは次のように話しています。

(テープ)

「糸を用意するのは、「ご飯・服・お金」という生活に必要なものを充実させることを意味します。糸は服の生産に欠かせないものなんです。」

神聖な石のおかげのためか、周辺に住むハニー族の人々は長年、平穏で豊かな生活を送っています。

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