ホアビン省マイチャウ県のタイ族の伝統舞踊「ケンローン」

(VOVWORLD) - 「ケンローン」踊りには、米を搗く、杵を叩き合う、杵を動かす、臼を叩くなどの動作が含まれます。
ホアビン省マイチャウ県のタイ族の伝統舞踊「ケンローン」 - ảnh 1「ケンローン」を踊っている女性たち

北部ホアビン省マイチャウ県に住む少数民族タイ族にとって、伝統的な踊り「ケンローン(Ken Loong)」は、お祭りをはじめ、生活に欠かせないものです。現在、コミュニティベースドツーリズムを行っているタイ族の村では、村人は観光客に挨拶する代わりに道具のケンローンを楽しい音を出すためによく使っています。ケンローンはここの魅力的な伝統文化の一つとなっています。

(現場の音)

タイ族の言葉では、「ケンローン」のケンは棒または杵で、ローンはおけまたは臼を意味します。マイチヤウ県ナフォン村に暮らすタイ族のハー・バン・セムさんの話です。

(テープ)

「ローンは質の高い木でできています。最も大きな音を出すのは『ラット』という木で、この木でできたローンの音は遠くまで響きます。それに対し、ケンは棒または杵で、ローンを叩くのに使われます。ケンとローンは元々、畑で稲を収穫した後、ローンに入れてケンで搗いたというものです。それを籾に搗いて、それからお米に搗きます」

ホアビン省マイチャウ県のタイ族の伝統舞踊「ケンローン」 - ảnh 2「ケンローン」用の道具

米を搗くとき、村人はしばしば杵であるケンで臼であるローンを数回叩いたり、杵同士で叩き合ったりします。これは、心地よい音を立て、畑仕事のすべての困難と苦労を払拭するためです。時間が経つにつれて、村人は徐々にリズムをつけて叩くようになりました。マイチヤウ県に暮らすタイ族の伝統的な踊り「ケンローン」はそのような米搗きの過程で誕生しました。マイチヤウ県ナフォン村のタイ族、ハー・ティ・ビックさんは次のように語りました。

(テープ)

「『ケン』と『ローン』は、かつては稲の脱穀に使用されていましたが、現在は新米祭りをはじめ、村の祭りや行事で披露される踊りの小道具として使われています。日食や月食の時、そして葬式では『ケンローン』踊りが披露されます。村人は『ローン』の両側に立ち、竹の棒を杵である『ケン』として使って『ローン』を叩きます。祭りの場合は、追加の楽器として太鼓や銅鑼も使います」

「ケンローン」踊りには、米を搗く、杵を叩き合う、杵を動かす、臼を叩くなどの動作が含まれます。杵と杵がぶつかる音、杵が臼に当たる音のほか、太鼓とドラの音、そして、踊り手の叫び声などにより、「ケンローン」踊りはいつも見る人を引き付けます。この踊りにより、多くの若い男女が結婚相手を探すことができます。

ケンローンを踊る人の数は、臼であるローンの長さ、またはイベントの時間や場面によって異なります。マイチヤウ県ナフォン村に暮らすハー・ティ・タムさんの話です。

(テープ)

「『ケンローン』踊りは通常8人で行われ、臼の両側にそれぞれ4人がいます。その中で、臼の一番端にいる2人は踊りのリズムを保つという役割があります。この踊りは、豊作を祈る村人の願いの現われです。観光客が村を訪れる際には、村の踊りチームがこの踊りを披露し、観光客はとても楽しんでいました。観光客も一緒に踊りました」

近年、マイチヤウ県は魅力的な観光地となっています。その中で、タイ族の伝統的な踊り「ケンローン」はこの地の魅力の一つだと評価されています。マイチヤウ県ナフォン村のハー・ティ・ニャットさんは次のように語りました。

(テープ)

「『ケンローン』踊りはタイ族の生活には欠かせません。踊りをおどると、その場の雰囲気は楽しく、賑やかで、ワクワクした気分になるからです。以前は土日に踊りが行われていましたが、現在は観光が発展し、観光客向けに毎日踊りが披露されています。『ケンローン』はもちろん、タイ族のほかの伝統的な踊りも披露しています。観光客は誰もが好きなようです。タイ族の伝統文化は必ず守るべきです」

2023 年 11 月 10 日、マイチャウ県に暮らすタイ族の伝統的な踊り「ケンローン」が文化スポーツ観光省によって国の無形文化遺産として認定されました。これにより、この踊りの保存と開発はさらに進むものと期待されています。

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