ムオン族の「旧正月に悪魔を追い払うネウ( Neu)の木を立てる」習慣

(VOVWORLD) - ムオン族にとって、『ネウ』の木を立てることはお正月が近づいていることを意味し、遠くにいる兄弟たちに家に帰って家族と一緒にお正月を祝うよう呼びかけるためです。

ベトナム北部の山岳地帯、特にホアビン省とタインホア省に多く住んでいる少数民族ムオン族の人口は100万人ほど、ベトナムの少数民族の中で3番目に多い民族です。民族・言語的にはベトナムの多数民族であるキン族と最も近いとされています。ムオン族はキン族と同様、旧暦に従って新年を楽しみます。旧正月を迎える風俗習慣はキン族と同じところが多く、その中には、「旧正月に悪魔を追い払うネウ( Neu)の木を立てる」という習慣があります。

ムオン族の「旧正月に悪魔を追い払うネウ( Neu)の木を立てる」習慣 - ảnh 1「ネウ」の木を立てている男性たち

ムオン族の伝説によりますと、昔々ムオン族は、自然に依存し、調和することで、十分な生活を送っていましたが、人間の生活に嫉妬した悪魔は洪水や干ばつを引き起こし、農作物を破壊しました。苦しむ民を気の毒に思った王の母親は、邪悪な悪魔を追い出す方法を見つけるために村人を集めました。王の母親の指導に従って、ムオン族は土地を守るために自分たちの領土を示す「ネウ(Neu)」という木を立てました。それぞれの梢に王の母親のドレスを掛けると、そのドレスの影が輝く場所が、人間が住むための王の母親の土地となりました。それ以来、ムオン族は毎年旧暦の 12 月 28 日に王の母親の恩をしのび、「ネウ」の木を立てる儀式を行っています。この儀式はその年の悪いものを追い払い、新年に良いものを迎えるためでもあるとのことです。タインホア省ゴックラック県ゴックソン村に暮らすファム・バン・トンさんとブイ・ホン・ニーさんの話です。

(テープ)

「年末、旧正月の準備として旧暦の12月25~26日頃、村人はお墓参りに行ったあと、祖先が家に帰って家族と一緒にお正月を楽しむよう合図するために『ネウ』の木を立てます。木のてっぺんに掛けられた赤い布は悪霊を追い払うためのものであり、ムオン族の生活の色彩を象徴するものでもあります」 

「昔から伝わる叙事詩は、『ネウ』の木が主権を主張し、ここが自分たちの土地であると断言するものであると明記しています。お正月が来ると、ムオン族は悪魔を追い払うとともに、テトが準備されていることを先祖に知らせるために『ネウ』の木を立てます」

ムオン族の「旧正月に悪魔を追い払うネウ( Neu)の木を立てる」習慣 - ảnh 2「ネウ」の木を立てる儀式

ムオン族にとって、『ネウ』の木を立てることはお正月が近づいていることを意味し、遠くにいる兄弟たちに家に帰って家族と一緒にお正月を祝うよう呼びかけるためです。旧暦の12月25日になると、村人は森へ「ネウ」の木を作るための美しい竹を探しに行きます。タインホア省ゴックラック県カオゴック村のファム・ティ・バオさんは次のように語りました。

(テープ)

「村人たちは、事業で成功し、子供をたくさん持っている才能のある男性を選んで、彼に『ネウ』の木の探索を頼みます。こうした男性を選ぶのは、村人にとって、一年が繁栄し、幸運を招くためのものです。『ネウ』の木の高さは7~9メートルです。『ネウ』の木を立てた後は、農作物の成長に適した天候や村人の健康と豊かさを天と地に祈ります。『ネウ』の木のてっぺんには葉や枝が生い茂り、四季を象徴する布が結ばれます。そして、太陽と月を象徴する籠も『ネウ』の木に吊るします」

「ネウ」の木を立てる儀式では、村で最も権威のある女性の指導の下、若い男女が木の水浴びをさせます。村人の話です。

(テープ)

「『ネウ』の木が立てられた後、村人はお供え物を捧げ、天と地の承認を願います。その後、ドラが鳴り響き、みな、その音に合わせて踊り、歌い、新年を祝いながら、一年の健康、平和と繁栄を祈願します」

ムオン族がお正月を迎えるのは「ネウ」の木が立てられることから始まり、その日から村には新しい春を迎えるドラや太鼓の音が響き渡ります。人々はその木に信頼を寄せ、一年を良い行いから始めて、幸せに春を迎えたいという願いが込められています。

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