高床式の家の階段 テイ族とヌン族の文化と風習

(VOVWORLD) - 伝統的な高床式の家は、北部山間部に居住している少数民族テイ族とヌン族の誇りです。高床式の家、特にその家に上がる階段はこれらの民族のユニークで豊かな文化と風習を物語っています。
高床式の家の階段 テイ族とヌン族の文化と風習 - ảnh 1高床式の家の階段

昔は野生動物やヘビがたくさんいたため、テイ族とヌン族は動物に襲われないよう、そして住居が涼しくて衛生的に保つため、高床式の家を建てました。地面と高床式家の玄関は木製の階段でつながっています。北部バッカン省チョードン県に暮らすジャー・バン・ブーさんは次のように語りました。

(テープ)

「テイ族とヌン族の高床式の家に上がる階段の数は古くから決められています。高床式の家には必ず階段が必要ですが、その段数は 7 段、9 段など奇数でなければならず、偶数段は避けなければなりません。長老たちによると、偶数の階段は『幽霊の階段』なので、テイ族とヌン族は奇数の階段を作らなければならないそうです」

階段の位置は、土地と家の位置に応じて、家の右側または左側になります。テイ族とヌン族は、階段を作るとき、山奥に生息する良質な木材を選んで建てます。階段はテイ族とヌン族の民謡や諺などにも登場します。例えば、テイ族とヌン族には、お客様を家に招くときに、「階段の手すりにカビが生えないようにする」など、もてなしの心を表現する韻を踏んだ格言があります。

テイ族とヌン族の考えでは、家族の中で最も階段を上り下りするのは母親と妻です。階段は女性の幸せ、困難、苦労を目撃するものであると言えるでしょう。そのため、テイ族とヌン族は母親や妻のことを思い出すとき、高床式の家に上がる階段をよく連想しています。

高床式の家の階段は、子どもが大人になるまでの一歩ごとの目安でもあります。子どもがハイハイしてつかまり立ちして階段を登るのは、自らを克服し、大人になる道のりです。この階段は、娘を夫の家に送る儀式の証人ともあります。民族文化研究者のズオン・サック氏は次のように語りました。

(テープ)

「結婚式の日、娘が夫の家に行く時間が来ると、祖父母や両親、親戚が一緒に階段をしっかりとおさえ、娘を見送ります。そのため、この階段は、娘が花嫁になるために親元を離れていく過程を見届ける愛の階段のようなものです」

高床式の家の階段 テイ族とヌン族の文化と風習 - ảnh 2

テイ族とヌン族の精神生活において、この階段は魂を迎える役目があるという考えをしています。彼らは、人間には肉体と魂があると信じています。肉体と魂は常に隣り合って存在しますが、魂の一部が肉体を離れて外に出たりすると、その人の食事が不十分となり、病気になる可能性があります。魂を呼び戻したい場合は、祈祷師を招いて儀式を執り行う必要があります。

先ほどの民族文化研究者ズオン・サック氏は、テイ族とヌン族の精神生活において、この階段は人間の生と死を繋ぐ糸とも考えられていると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「魂を呼び戻すには、祈祷師を招いて儀式を執り行う必要があります。魂を呼び戻す儀式を行う際、バナナの葉の茎は、祈祷師の兵士が天に昇って人間の魂の帰還を歓迎するための象徴的な階段としてよく使用されます。また、実際の階段には色紙で作られた人形や旗が置かれます。これらは、冥界の兵士が魂の階段を管理するためのお金です」

現在、テイ族とヌン族の生活は大きく変わっていますが、伝統的な高床式の家とその階段は依然としてこれらの民族の精神生活において重要な位置を占めています。

 

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