ASEAN経済共同体がもたらすチャンスを活用するベトナム企業
(VOVWORLD) - チャンスを活かせば、収益がありますが、逆に、損失にもなります。
AEC=ASEAN経済共同体は、6億人の人口を持ち、2020年にGDP=域内総生産が4兆7000億ドルに達し、2030年に世界第4の経済地域になる見通しです。AECはベトナムを含めASEAN加盟諸国の企業に多くのチャンスをもたらしています。AECが誕生してからこの2年間、ベトナム企業はそれらのチャンスを活用して競争力を高めるために取り組んでいます。
(写真:Baotintuc)
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AEC設立以来、その試練とチャンスに関するベトナム企業の認識が一段と高まっています。VCCI=ベトナム商工会議所が、AECが設立されてから1年後の2016年に行った調査によりますと、企業の47%はAECに関する情報を主体的に収集し、研究を行いました。しかし、そのメリットを活用することは簡単ではありません。
クリーン農産物生産企業CP社を例として取り上げますが、同社はこれまで欧州市場に製品を輸出してきました。しかし、まだ、ASEAN市場への進出はできず、市場研究にとどまっています。これに関し、同社のグエン・バン・トゥアン社長は次のように明らかにしています。
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「ASEAN市場の政策や、消費能力、特徴などについて研究しています。相手探しや、相手に関する理解などのために視察しなければなりませんね。私は、ASEAN諸国を訪れたことがありますが、観光のためでした。市場視察はハイレベルで行われる必要があると思います。政府の主催による活動に参加します。」
一方、ソンアングループのグエン・カク・ソン社長はトゥアン社長の見方に賛同し、「ASEAN市場へ進出するとき、慎重でなければならない」と指摘しています。ソン社長の話です。
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「ASEAN経済共同体は企業に多くのチャンスと試練をもたらしていますね。チャンスを活かせば、収益がありますが、逆に、損失にもなります。多くのASEAN企業が同じ製品を生産しているのは事実です。そのため、競争するために、ベトナム企業は製品の質などの面で配慮しなければなりません。一番いい方法は、新しいものづくりだと思います。」
実際、ソンアングループはその方向に沿って、ASEAN市場に着実に進出し、もち米酒や、健康食品などを輸出しています。2016年の同社のASEAN市場への輸出額は300万ドルに達しました。そして、今後5年間で、その額を1500万~2000万ドルに達成させるために取り組んでいます。ソン社長の話です。
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「価値の高い製品を生産するために研究を進めています。そして、それぞれの国の特徴、消費者の好みなどについても研究しています。同時に、ASEAN緒国の相手と協力するために、社員を対象に外国語教育を進めています。」
一方、電子製品・家電生産企業VNTech社は、ASEAN市場進出へ向けて、近代的な技術や、設備、機械の導入を重視しています。これを通じて、コストの削減、競争力の向上を図っています。同社のレ・カック・ホア社長は次のように明らかにしています。
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「我が社の製品はマレーシアや、タイなどの製品とも劣らないんですが、価格は20%安いです。これは我が社のメリットです。したがって、我が社の年商はおよそ10億ドルに達しています。」
実際、ベトナム企業はASEAN経済共同体がもたらす試練とチャンスを良く理解しているといえます。したがって、各企業は適切な措置をとっています。加えて、政府も積極的に支援しています。先ごろ行われたAECに関するビジネスフォーラムで、グエン・クオク・ズン外務次官は次のように語りました。
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「ベトナム企業はチャンスと試練を十分に認識していると思います。また、政府と各省庁、機関も企業支援に対する自らの役割を十分に認識しています。今後も、企業支援を強化していきます。」
現在、ASEANはベトナムの第2貿易相手となっており、その年平均成長率がおよそ15%に達しています。また、エコノミストらによりますと、10年後、AECの成長速度がEU=欧州連合を超える見通しです。こうした中、ベトナム企業がAECがもたらすチャンスを活用することは差し迫った問題と見られています。