(VOVWORLD) - 新型コロナウイルス感染症や世界経済の低迷などにより、これまで、ホーチミン市に対するFDI=外国直接投資の伸び率は低いレベルにとどまりました。こうした事情を踏まえ、年初から、ホーチミン市はFDI誘致戦略を更新し、付加価値が高く、新しいテクノロジーを使用し、グローバル・サプライ・チェーンにつながる実施可能なプロジェクトを選択する方針です。
同市の計画投資局の統計によりますと、1988年から今年4月現在、ホーチミン市は117の国と地域からおよそ830億ドルにおよぶ1万1220件の投資プロジェクトを誘致し、国内各地の中でトップに立っています。しかし、昨年、ホーチミン市に対するFDIの総額は43億ドルを超えただけで、2021年と比べ、およそ40%減となりました。また、年初からの4か月間に同市が誘致したFDIは9億7960万ドルにとどまり、昨年同期と比べ、23.4%減少しました。FDIは貿易、情報通信、修理などの分野に集中したものです。中央経済委員会・総務部のグエン・トゥ・アイン部長は「外国企業はグローバルミニマム課税の適用により、優遇税制があるベトナムのような国におけるメリットが失われることを懸念し、ホーチミン市への投資をためらっている」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「外資系企業に多くの優遇措置を適用しており、大手企業に対しては15%以下の税率を適用しています。ベトナムがこの優遇税率を維持する場合には、多国籍企業は母国から上乗せ課税を課されるので、15%以下の実効税率は功を奏しません。というのは多国籍企業はベトナム、およびその企業の母国により、合計15%相当の税率を課されるからです」
年初から、ホーチミン市行政府は計画投資局に市内の社会投資、および外国投資調達計画の作成を委託しました。これによりますと、ホーチミン市は質、効果、技術、環境保護を主要な基準としてFDIを選択的に誘致し、先進技術、新技術、クリーン技術を使用し、近代的なガバナンスを導入し、付加価値が高く、グローバル・サプライ・チェーンにつながるプロジェクトを優先させるとしています。投資が奨励される産業は機械製造、電子、情報工学、プラスチック・ゴム、食糧・食品加工、デジタル経済などです。一方、ホーチミン市は国外在留ベトナム人に国内企業への資本拠出や株式による寄附のため、好ましい条件を提示するとともに、優遇税制を適用し、国外在留ベトナム人からの送金を促進することが狙いです。金融・銀行分野に携わるアメリカ在住ベトナム人のグエン・チ・ヒエウ博士は、在外ベトナム人からの外貨送金に対する免税政策を継続し、ホーチミン市の投資チャンスに対する在外ベトナム人の信頼の向上を目指す政策をとるよう提案し、次のように語りました。
(テープ)
「マクロ経済の安定を確保しない限り、在外ベトナム人からの母国への送金の促進は図られないでしょう。今年の第1四半期、国内では困難な状況が続いているので、母国への送金の促進を目指す措置が強化されなければなりません」
FDIの選択的な誘致に関し、同市は工業団地や輸出品加工区を新しく建設するとともに、行政改革や適切な優遇政策の研究、国際市場における競争力の向上、ハイテクを使用した大規模なプロジェクトの誘致を目指す、有利な投資環境の整備を促進していく方針を打ち出しました。
バン副センター長(右) |
ホーチミン市の貿易投資促進センターのカオ・ティ・フィ・バン副センター長は行政改革や透明な投資環境や投資政策の整備に取り組む傍ら、地域連携を強化するための交通インフラ整備をも重視する必要があるとの見解を述べ、次のように語りました。
(テープ)
「ホーチミン市は単独で発展をとげることはありません。周辺の地方と連携して、はじめて発展できるのです。ホーチミン市はこの連携で重要な役割を果たします。近隣各省・市と協力し、原材料の生産地域やサプラインチェーンを設立することが狙いです」
ホーチミン市のFDI誘致の促進を目指し、今後、同センターは外国の外交代表事務所との連携を拡大し、投資家への投資許可証申請手続きをガイダンスすると同時に、裾野産業に関する展示会を通じて、企業間の連携を支援し、投資家の意見や要求に対する関係省庁の返答をまとめるなどしていきます。また、ホーチミン市は潜在投資家格付け表を作成し、新たな開発スペースづくりへの投資誘致の促進を目指すとしています。