ベトナムが韓国およびユーラシア経済連合とのFTA=自由貿易協定を締結し、TPP=環太平洋経済連携協定や、EU=欧州連合とのFTAの交渉を進めている背景の中で、繊維製品部門は大きなチャンスを持つとされています。同部門はこれらのFTAがもたらす利益を活用するために多くの措置を取っています。
年初以来、繊維製品部門の輸出額は128億ドルに達しています。この部門は政府の優先政策の対象となる先端経済部門として見做されています。EUはベトナム繊維製品の主要輸出先の中の1つですが、まもなく締結されるEUとのFTAはベトナム繊維製品のEU市場進出に有利な条件を作り出し、競争力の向上に寄与するものとみられます。
また、TPPはベトナム繊維製品の最大市場であるアメリカへの輸出の大幅増加につながると予測されています。さらに、ユーラシア経済連合とのFTAの発効により、この市場へのベトナム繊維製品の輸出額が1年目に50%増、次の年に20%増となる見通しだとされています。こうした中、繊維製品企業は準備作業を積極的に行っています。
紡績縫製企業DHA社のグエン・ミン・ホア代表は次のように明らかにしています。
(テープ)
「我々は多くの措置を取っています。先ず、ロシア市場に適した製品の研究・開発です。2つ目は、質の高い原材料供給源を探すことです。これらは製品の品質と競争力を高めるための措置です。」
一方、ベトナム紡績縫製グループのレー・ティエン・チュオン社長は「各企業の努力こそが、市場拡大や、繊維製品部門の持続可能な発展事業に多くのチャンスをもたらす」との見方を示しています。
また、チュオン社長は「ベトナムは今年通年の繊維製品の輸出額が285億ドルに達するという目標を達成できる」との楽観的な予測を出し、次のように語りました。
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「ユーラシア経済連合諸国は毎年、130億ドル相当の繊維製品を輸入しています。その中で、ベトナムからは3億2000万ドルです。つまり、その総額の2%に相当るのです。我々はユーラシア経済連合とのFTAに規定される税関、行政手続などに関するメリットを生かすことができれば、そのシェアは現在の2%ではなく、10%に増えると信じています。」
一方、エコノミストらは、「メリットのほか、FTAはベトナム企業にデメリットももたらす」との警鐘を鳴らしています。具体的には、商取引や、投資、サービス、知的所有権などに関する厳しい規定、輸出先の企業の競争などが大きな問題とみられています。
これに関し、ベトナム紡績縫製協会のダン・キム・ズン理事長は次のように語りました。
(テープ)
「我々は各企業に対し、弱点の克服に力さらにを入れるよう呼びかけています。また、原材料供給、すその産業のどの面で、連携を強化する必要があります。そうしないと、FTAの要求に応えることができません。」
ベトナムが既に締結したFTAや、まもなく締結するFTAはベトナム繊維製品部門に新しい原動力を作り出すものと見られています。こうした中、ベトナム繊維製品企業は自らの力や、努力、政府の支援などにより、これらのFTAのメリットを徹底的に活用し、さらに発展していくと期待されています。