消え行く”歌垣”保存に取り組むシエンさん

ベトナム北西部にあるイエンバイ省ムオンロー県は少数民族タイ族の居住地です。時が経つにつれて、タイ族の伝統文化は失われてゆきつつありますが、近年、タイ族のある芸人の努力により、タイ族の伝統的歌垣である民謡カップが復活されつつあります。これらの芸人の一人はディウ・ティ・シエンさんという女性がいます。

消え行く”歌垣”保存に取り組むシエンさん - ảnh 1

現場の音

この美しい歌声はギアロー町ギアアン村に住むディウ・ティ・シエンさんのものです。シエンさんはタイ族の民謡カップのメロディーの中で育ちました。幼いころから、シェンさんの母親は子供を連れて、村の男女の掛け合いを見に行きました。そのため、5歳になると、シェンさんはカップを歌えるようになり、8歳になると、カップの公演に加わりました。そして、15歳になったシェンさんの歌声は広く知られるようになりました。彼女は少数民族の芸能大会で幾度も金賞を獲得しました。シェンさんの話をお聞きください。

(テープ)

「民謡カップを歌うのは難しくないものの気持ちを込めて歌うのは誰もができるものではありません。私は運良く幼い頃から、祖母と母が私にカップを教えてくれたので、いつからかわかりませんが、自然に民謡カップを歌えるようになりました。カップが大好なので、徹夜で歌うこともありました。」

このように語ったシェンさんによりますと、民謡カップは故郷の美しさ、日常生活をモチーフにしたものです。昔から伝わる民謡カップは家の新築、結婚式、恋人を見送る時に歌われるものです。その昔、ムオンロー県の住民なら、だれもがカップを歌うことができました。しかし、現在は歌える人が徐々に少なくなっています。シェンさんはこのことを懸念しています。

(テープ)

「現在、タイ族のカップを歌える人は減っていますが、上手に歌える人はさらに少ないです。こうした現状を見て、非常に悲しんでいます。民族の伝統文化に対する若者の関心は薄くなっています。そのため、これらの民謡の普及に取り組んでいます」

シェンさんはこのように語りました。

消え行く”歌垣”保存に取り組むシエンさん - ảnh 2

タイ族の娘たち


暇な時、シェンさんはカップの古い歌詞を記録するほか、伝統的メロディーを基に新しい歌詞を創っています。これと同時に、シェンさんは若者にカップを教えています。そして、次のように語りました。

(テープ)

「民謡カップを学びたい子供に対して、真剣に教えています。現在、10人に教えてきました。今後、このような若者がカップを保存、普及する人々になってゆきます。ひとつの村にカップを上手に歌える人が10人居れば大丈夫です」

シェンさんはこのように語りました。

民謡カップを学びたい若者が日増しに多くなっています。シェンさんのカップを学ぶため、他の地方からやってきた人もいます。シェンさんはこれを見て、うれしく思っています。困難を問わず、シェンさんは毎日民謡カップの普及に全力を尽くしています。

 

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