2025年のテト:大晦日特別番組

(VOVWORLD) - 今日のこの時間は、「テト・愛と希望の季節」をテーマにした特別番組をお送りします。

MC:リスナーの皆さん、今日は旧暦の12月29日、辰年の最後の日です。ベトナム人にとって、1年はいつも伝統的な旧正月テトで締めくくられ、また、新年がはじまります。これは、誰もが家族のもとへ帰り、大切な人たちと共に新年を祝いたいと願う特別な瞬間です。テトは再会と愛情あふれる季節であり、共に新しい希望の光を灯す時期でもあります。また、テトは未来を見据え、多くの願いと信念を胸に新しい一年を迎えるための特別な時間でもあります。今日のこの時間は、「テト・愛と希望の季節」をテーマにした特別番組をお送りします。

Part 1:村でテトを迎える雰囲気

北部ハナム省フーリー市リエムトゥエン村ダム集落では、住民たちが旧正月に向けてベトナム風チマキ「バインチュン」作りの最終工程の仕上げで忙しくしています。ダム集落で作られるおいしいバインチュンは、省内外のお客様に届けられています。

ダム集落では、注文に応じて一年中バインチュンが作られていますが、最も賑やかな時期はやはりテトが近づく時期です。村の至るところで煮炊きされるバインチュンの鍋から漂う香りが、旧正月の雰囲気を一層引き立てています。村人の話です。

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「楽しいですよ!どの家庭もどの人も忙しそうにバインチュンを作っています。テトは本当に楽しいですね」

「旧正月の時期に、市場の需要が非常に大きく、私たちは供給が追いつかないほど忙しいです」

「近所の道も賑やかで、バインチュンを運ぶ人や、葉っぱや材料を運んで取引する人で一日中、混雑しています」

ダム集落のバインチュンは、その香りとおいしさで有名です。それは、型を使わず、昔ながらの手作業で包み、厳選されたもち米、高品質の緑豆、豚のバラ肉を使用するなど、伝統の製法を守っているからです。特に、雨水を使って12時間煮るという独自の方法があります。村人のファム・バン・ルアンさんは次のように語りました。

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「私たちの村では、どの家庭にも雨水を貯めるタンクがあり、バインチュンを煮るのに使います。雨水を使うと、バインチュンがよりしっとりとしておいしくなり、長持ちできます」

ダム集落の住民たちは、ベトナム人がテトにバインチュンを食べ続ける限り、この伝統職業を守り続けると語ります。彼らにとって、単に料理ではなく、民族の魂そのものを守っていることになるからです。村人のブイ・ミン・トゥアンさんは次のように述べました。

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「バインチュンは家族間の思いやりと絆の表れであり、地球を象徴するものです。中に詰まっているもち米、緑豆、肉は豊かさを表わしており、これは何千年も前から伝わってきたベトナム人の信念です。現在、生活水準が向上し、食べ物も多種多様ですが、バインチュン作りは、豊かで幸せな生活への私たちの願いを示すものだと思います」

Part 2:洪水被災地でのテトお祝いの雰囲気

思いやりと愛情は、家庭内だけでなくコミュニティにおいても、示されるベトナム人の美意識です。今年、自然災害と洪水の被害を受けた地域の住民は、何百万人もの人々から寄せられた分かち合いの気持ちと温かい思いやりの中で、旧正月テトを迎えます。何よりも、自分たちは平安で幸せな新しい生活を築き、自然災害に負けないと信じています。

旧正月を数日後に控え、北部山間部ディエンビエン省ムオンポン村リン集落のフオイケ再定住地では、人々が新しく建てられた頑丈な家の中に集まり、旧正月を迎える高揚した雰囲気に包まれています。お餅「バインゼイ」をつく音が響き渡り、笑い声が飛び交う中、年配の方々の輝いている瞳や子どもたちのバラ色に染まった頬が一同、幸せと満足感を表わしています。

洪水発生後に再定住した山間部の少数民族の村々に春が訪れています。昨年7月の大規模な鉄砲水で甚大な被害を受けたムオンポン村の多くの集落が、現在、新しい生活の息吹に満ちた場所に生まれ変わっています。再定住地に建てられた35軒の新しい家は、単なる雨風を避ける場所だけでなく、平和で豊かな新年への希望を共有する空間となっています。住民の話です。

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「党と国家の温かい配慮に、誰もが感謝し、とても感動しています。村を美しくするため、家の前に花を植えようと思っています」

「今年、私と母は初めて新しい家でテトを迎えます。長年の夢がついに叶いました。政府に本当に感謝しています」

「嵐の後、たくさんの支援を受けました。新年を迎えるにあたり、私たちはとても嬉しく、早く生活を安定させようとの意欲が湧いてきます。そして、自信を持って新しい春を迎えたいと思います」

一方、北部山間部ラオカイ省バオイエン県フックカイン村ヌー集落の再定住地では、旧暦の12月29日、朝早くからテトの準備で賑わっています。

1か月前、ソンさんの家族はヌー集落で新しい家を引き渡されました。この家は、3か月前の歴史的な洪水で完全に流された旧居からそれほど遠くない再定住地に建てられたものです。ソンさんは次のように述べました。

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「こんなに素晴らしい家を持てるとは夢にも思いませんでした。この間、妻と一緒に大忙しでした。近所の人や友達を呼んで、楽しい食事会をしました」

大きな災害を乗り越えた人々は、生活を安定させるための努力を続けています。ここの人々は新春を迎え、未来への希望に膨らんでいます。これらの再定住地は、再生の象徴であるだけでなく、思いやりと強い意志の力を示す生きた証でもあり、人々が共に「模範的な村」や「幸せな村」を築き上げる場となっています。

Part 3:母国を離れても旧正月テト、国外在住ベトナム人が祖国に心寄せる

母国から遠く離れて住むベトナムの人々は、旧正月テトが近づくと、居住国の生活ペースと仕事で忙しいにもかかわらず、だれもがベトナムの旧正月の伝統的文化を保存・発揮し、団結の精神を維持し源へ心を寄せることに取り組むほか、母国の発展への希望と信念といった多くの願いを胸にしています。

モロッコに50年以上住んでいるチャン・ティ・ホン・メイさんは、旧正月のあらゆる瞬間をいつも大切にしています。メイさんがベトナムから帰国してテトを過ごした伝統的旧正月の思い出について、身内の子どもや孫に話す機会を得られるように、いつも旧正月までの日数を数えていました。

メイさんにとって、遠く離れて文化が異なる国で旧正月を迎えると、母国や旧正月テトを懐かしむ気持ちは、さらに深まっています。

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「西暦の元旦を迎えるたびに、もうすぐ旧正月テトが来るのだなあと思い出します。その時、また、アルバムを開いて、ベトナムの写真を見ながら、身内の子どもと孫に、色々なベトナムのことについて話し、故郷に思いを馳せました。これを通じて、子どもたちが自らの出自を忘れないようにしています」

メイさんと異なり、グエン・バン・ホアさんはタイで半世紀以上前に生まれ育ちました。ホアさんの家族は現在、タイ中部のパトゥムターニー県に住んでおり、毎年、旧暦12月23日から、テトを迎えるためのあらゆる準備をします。

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「旧暦12月23日は、『オンコン・オンタオの日』と呼ばれる『かまどの神様の日』を祀る日です。私たちは、いつもこの伝統儀式を大切にしていて、次の世代が継承できるよう維持しています。旧暦12月23日に、きちんと準備して故郷の習慣と同じくするよう尽力します」

旧正月は、家族団らんの温かいひとときであるだけでなく、タイ人駐在ベトナム人にとって、コミュニティの再会の瞬間でもあります。900キロも離れたプーケット駐在ベトナム協会副会長を務めるチュオン・ティ・ベさんおよび、タイ東北部に位置するウドーンターニー県駐在ベトナム人協会会長は首都バンコクで行われる『故郷の春』というイベントで親戚や友達と再会し、ともに2025年の旧正月を迎えました。2人はその喜びを隠せずに、次のように語りました。

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「プーケットから来た私たちはここで集まって、皆と一緒に伝統的なお正月テトを迎える楽しい雰囲気で過ごし、非常に嬉しく思います」

「今年の故郷の春イベントは、首都バンコクで開催され、タイの26の県と町に住んでいるベトナム人多数が魅せられています。これは全員が十分に集まることとのできる機会であり、一年で貴重なひとときでもあると思います。とても感動しました」

タイ駐在ベトナム人協会のグエン・ゴック・ティン会長によりますと、ベトナム人にとって、旧正月テトは特別な意味があり、家族団らんの時でもあります。故郷から離れている人々はテトが近づくと家族の元に帰り、テトを楽しみます。

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「何千マイルも離れていますが、私たちの心の奥底から、テトは愛国心と同胞への思いやりと、神聖なつながりとしての役割を立派に果たしているといつも認識しています。ベトナム人にとって、祖国は常に強力な支えとなっています」

『故郷の春』イベントがをもたらす、暖かく親しみやすい雰囲気は、多くのベトナム人の母国に対する懐かしい気持ちを和らげるのにも役立つとしています。オーストラリア国立大学のチュー・ホアン・ロン准教授は、「毎年、いつもコミュニティの旧正月テトに参加する努力をしている。ベトナムの美しい文化と良き伝統を保存・発揮していきたい意向がある」と表明し、次のように語りました。

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「テトは、オーストラリアに住むベトナム人の大家族が集まる機会です。この家族は、多くのメンバーと世代から構成され、それぞれが異なる社会的責任と義務を持っていますが、共通する特徴は、自分たちの出自と文化を常に誇りに思っていることです」

テトの団らんは、国外在住ベトナム人にとって、故郷への貢献について願いを共有する機会でもあります。これはベトナムが重要な転換期を迎えており、科学技術が今後の戦略的突破口として位置づけられている中で、特に重要です。

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「私たちは集いで、最近の祖国の変化について話し合い、皆は今年、国が大きく変動し、飛躍的な発展を遂げているという点で同意しました。私個人としては、国内の同僚との交流と協力を強化するよう、常に努めています。もう一つは将来、祖国への貢献を期待して、強固な国外在住ベトナム人コミュニティの構築に取り組みます」

「ベトナムは最近、インフラや社会経済の発展において目まぐるしい速さで発展しています。現在、私たちは故郷にそれほど多くの貢献はできていませんが、心の中では常にいつか帰国して、自分の力と知恵を故郷のために捧げたいと願っています」

MC:新しい春が訪れています。春は一人一人の心に、それぞれの家庭を訪れ、豊かな一年への信念と希望、および国の繁栄への願いを実現するために力強く前進することへの希望をもたらします。どこにいても、ベトナム人一人ひとりは伝統的なテトを祝う文化を誇りに思い、それを保存・発展させることを常に意識しています。

では、ここで、今日の特集番組が終わります。

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