
ASEAN=東南アジア諸国連合の第24回首脳会議とアジア安全保障会議いわゆるシャングリラ対話の前から、中国がベトナムの排他的経済水域と大陸棚に海洋リグ981を設置したことは強く批判されてきました。また、COC=海上行動規範の作成が促進されている中、中国のこの行動はASEANとの公約を破り、中国に対する地域諸国の信頼を低下させるものとみられます。
中国がリグを設置してから数日後、ASEAN諸国の外相らはベトナム東部海域いわゆる南シナ海に関する共同声明を出し、中国の一方的な行動に深刻な懸念を示しました。これは前例のないことです。昨年末開催されたASEAN首脳会議とASEANプラス3会議で中国の指導者らは演説の中で、「双方は信頼醸成、善隣関係づくり、団結の維持に取り組む必要がある」と言明しました。
また、ASEAN・中国戦略的パートナー関係樹立10周年を記念する式典で、中国のリ・カク・キョウ首相はASEANと「良き隣人、良き友好、良き協力」といった3原則条約の締結を提案しました。これに先立つ昨年5月、中国のオウ・ギ外相が就任後、ASEAN諸国を初外遊の目的地として選んだことから、中国がASEANを戦略的パートナーとして見なしていること期待されました。ASEANは中国との善隣関係の強化、発展に力を入れてきました。
さらに、ASEAN・中国航海協力パートナー関係づくりを支持し、DOC=海上行動宣言を全面的に履行した上で、COC=海上行動規範の作成に取り組む姿勢を示しました。中国がこうした前向きな動きに逆行して、ベトナムの排他的経済水域と大陸棚に海洋リグを設置したり、ベトナムの漁船に体当たりしたり、放水したりすることなどはASEANをはじめ、国際社会に大きな打撃を与えました。中国の行動は地域の平和と安定を深刻に脅かし、DOCに違反した上で、「平和かつ安定で繁栄した地域を構築する」という自国の公約を否定しました。
先頃、ミャンマーで開催されたASEAN高級実務者会合や、ASEANプラス3(つまりアセアンと日本、中国、韓国)高級実務者会合、EAS=東アジア高級実務者会合で、参加者らはベトナム東部海域での緊張情勢について触れ、深い懸念を示しました。また、当事者に対し、1982年国連海洋法条約や、DOC=海 上行動宣言を含む国際法を遵守するよう要請しています。
一方、ベトナムのファム・クアン・ビン外務次官は、中国の挑発的な行動に関する情報を提供した際、「中国の行動は、ベトナム領有権を深刻に侵犯し、国際法に違反するものである」とした上で、中国に対し、石油リグと護衛船をベトナムの海域から直ちに撤退 するよう再び要請しました。さらに、地域諸国と国際社会に対し、今後も中国の違法行為を引き続き批判し、中国が国際法を尊重し、COC=海上行動規範の早期制定へ向けてDOCを厳格に履行することを要求していくよう呼びかけました。
各国にとって、発展のために、平和環境維持は重要な要素です。しかし、中国の行動は地域と世界の平和環境を破壊しています。中国はこれらの一方的な行動を続けば、国際社会における孤立が一段と深まることでしょう。