ウクライナのポロシェンコ大統領は東部での20日からの停戦を一方的に宣言しました。ポロシェンコ氏のこの停戦宣言や和平計画が欧米に加えてロシアからも支持を得られました。特に、ロシアのプーチン大統領は22日、支持を表明した上で、同国政権と親ロシア派に対話と妥協を要求しました。しかし、その後の動きから見れば、この計画が失敗する可能性があるといえます。
停戦後も戦闘が散発的に発生(写真:http://motthegioi.vn)
宣言の後も現地でロシアとの国境付近などで戦闘が続いています。中でも、ウクライナ東部スラビャンスク近郊で24日、親ロシア派武装集団がウクライナ政府軍のヘリコプターを撃墜し、搭乗していた9人全員が死亡しました。こうした中、新ロシア派はウクライナ政府が新しい作戦を行っていることを指摘する一方、ウクライナ側は、親ロシア派が停戦していないと非難しています。
和平計画
ポロシェンコ大統領は国民に向けて演説し、停戦や和平計画は欧米や国連のほか、ロシアからも支持を得られたとして、「国際社会全体に支持されている」と述べ、停戦実現に取り組む姿勢を強調しました。
さらに、大統領は「和平計画の実行は政治対話への道を開く」と述べて、ロシアが求める親ロシア派との対話にも応じる用意があることを示し、東部で要求が強まっ ている地方分権の推進についても憲法改正案の審議を数週間後に議会で始め、9月にも憲法改正を実現させたいと表明しました。
これらは建設的な行為ですが、アナリストらによりますと、現在のウクライナでの紛争は親欧米派や親ロシア派間の問題であるため、アメリカやロシアの介入がなければ、解決しにくいとしています。
状況深刻化
ポロシェンコ大統領が和平計画を発表した翌日の21日、親ロシア派は、ドネツクで、武装集団のメンバー100人近くが集まり、和平計画を非難するとともに、市民を前に徹底抗戦を誓いました。
これに対し、ウクライナ大統領府は、親ロシア派の武装勢力側の攻撃がさらに続く場合はポロシェンコ大統領が停戦を期間前に切り上げることもあり得ると警告しました。特に、ポロシェンコ大統領は軍に対し、停戦中でも攻撃を受ければ迷わず反撃するよう指示したということです。
米ロの態度
こうしたなか、アメリカのオバマ大統領はドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領と電話会談を行い、ロシアが事態の鎮静化に向けて具体的な行動を取らない場合は、追加制裁を科していく方針で一致しました。
一方、ロシアのプーチン大統領は和平計画を支持するとして、24日、議会に対し、ウクライナに軍事介入できる権限を取り消すよう求めました。
しかし、アナリストらはロシアのこの決定を疑問視しており、「戦闘が再び激化すれば、停戦の実現が危ぶまれ、今後のウクライナ情勢が予断を許さない状況だ」との懸念を示してます。