シリア大統領選を巡る問題


3日、内戦が続くシリアで 大統領選挙が行われました。選挙法の規定で反体制派は事実上排除されており、アサド大統領の3選が確実視されています。反体制派や米欧は「民主主義のパロディーに過ぎない」と批判していますが、アサド氏は選挙を通じて「民意」を示し、政権の正統性を改めてアピールする考えです。


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シリア有権者は内戦が続く中投票(写真:ロイター)

大統領選にはアサド氏のほか、独立系の人民議会議員のハッジャール氏と元国会議員で実業家の ヌーリ氏が立候補しました。


選挙条件

投票は首都ダマスカス中心部などアサド政権の支配地域で行われました。内戦の影響で、国民の半数にあたる約 1000万人が国内外で避難生活を送っており、投票できる有権者は限られるとみられます。

ゾウビ情報相は1日、国営テレビで「国民の本当の意思を示す機会 だ」と述べ、投票を呼びかけました。候補者は3人ですが、アサド氏以外の2人は無名で、公正な選挙を演出するための引き立て役だとの見方が強いです。

国営通信などによりますと、5月28日から29日に はアサド政権の友好国を中心に43カ国で在外投票が行われましたが、投票所にアサド氏のポスターを持ち込む有権者も多かったということです。反体制派は「多数の住民が避難生活を送る中で実施される選挙に正当性はない」と主張し、選挙をボイコットしています。

選挙法の規定で、候補者は10年以上継続してシリアに居住し、国会議員30人以上の推薦を得る必要があり、反体制派は事実上排除されました。


問題点

シリア国内では、一連の混乱が始まって3年余りたった今も、政府軍と反政府勢力との間の戦闘が各地で続いています。政府軍は、隣国レバノンのイスラム教シーア派組織などの支援を受け、去年からことしにかけて、反政府勢力に制圧されていた中部や西部の要衝を次々に奪還するなど戦況で優位に立っています。

これに対して、反政府勢力側は、南部の都市ダラアなどで政府軍を攻撃しているほか、最近は、政府軍の陣地の地下までトンネルを掘って爆弾を仕掛け、爆発させるなど抵抗を続けています。

各地での戦闘では、市民が巻き添えになるケースが後を絶たず、イギリスに拠点を置く人権団体は、これまでに民間人5万4000人を含む16万2000人が死亡したとしています。また、経済問題も深刻化しています。

こうした中、アナリストらは、「アサド大統領は、再選されても、戦争の被害克服や、国の再建事業、外交関係などにおいて、様々な困難に直面する」と予測した上で、「第3期アサド政権がこれらの問題をどのように解決するかは焦点となる」との見方を示しています。

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