ベトナム教育80年の歩み 文盲撲滅から国際統合へ

(VOVWORLD) - 80年前に文字も読めない状況から始まったベトナムの教育が、今では2200万人の子どもたちが学ぶ、世界水準の教育システムになっています。これは本当に感動的な物語です。
9月5日、ベトナム全土で2200万人を超える生徒と学生が新しい学年をスタートさせます。
さて、このタイミングでベトナムの教育について振り返ってみると、実に驚くべき歴史があることがわかります。
80年前の大変革
ベトナム教育80年の歩み 文盲撲滅から国際統合へ - ảnh 11945年10月8日、ハノイで開催された民衆教育幹部養成講習会の開講式に出席するホーチミン主席

時は1945年、ベトナムが独立を果たした直後のことです。当時の状況は想像を絶するものでした。なんと国民の90%以上が文字を読むことができなかったのです。建国の父であるホーチミン主席は、この状況を見て「これは国家の緊急事態だ」として、識字率向上を最優先課題に掲げました。

そこで始まったのが「民衆教育運動」です。この運動の規模と成果は本当に驚異的でした。開始からたった1年間で、全国に7万5000もの教室が設置され、9万5000人の教師が参加しました。そして、なんと250万人以上の人々が読み書きを身につけたのです。
さらに、1959年には北部の平野部で、12歳から50歳までの住民全員の識字化が完了しました。そして1965年末には、交通の便が悪い山間部でも、文盲がほぼ根絶されたのです。
現在、ハノイの国立歴史博物館で「民衆教育―未来を照らす」という展示会が開かれているのですが、そこのグエン・バン・ドアン館長が「民衆教育運動」について次のように語りました。
(テープ)
「この運動は単なる文字の勉強ではありませんでした。国民の意識を変え、自分たちの力で向上しようという意志を育て、そして国民の団結力を高めるものだったのです。人格形成のために学び、祖国に奉仕するために学ぶという理念は、教育の価値を明確に示すものであり、現在の国家発展においてもその重要性は変わりません」
現代への発展
ベトナム教育80年の歩み 文盲撲滅から国際統合へ - ảnh 2「民衆教育 - 未来を照らす」展示会より、
田畑で学習する農民たちの様子。

そして現在のベトナムでは、戦時中の簡単な教室から始まった教育が、世界レベルの水準に達しています。第4次産業革命と呼ばれる時代の中で、ベトナムの教育は人材育成の中心的役割を担っています。

グエン・キム・ソン教育大臣は「教育がこれほど政府から注目され、期待されたことはない」と話しています。実際、今年は教育関連の重要な法律が次々と成立し、デジタル化や人工知能の活用、そしてSTEM教育と呼ばれる科学技術教育も本格的に始まっています。
そして何より注目すべきは、今年から全国の幼稚園から高校まで、すべての子どもたちの授業料が免除されることになったことです。これは本当に画期的なことだと評価されています。
ルオン・クオン国家主席は新学年の開始にあたって、「学生や生徒たちが国を豊かにする大きな志を持っていることを信じている」というメッセージを送りました。また教育分野が知識、道徳、技能、精神力、志の全ての面で人間形成を目指し、躍進の時代における国家の持続可能な発展要求に応えていくことへの期待を示しています。
80年前に文字も読めない状況から始まったベトナムの教育が、今では2200万人の子どもたちが学ぶ、世界水準の教育システムになっています。これは本当に感動的な物語です。

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