ロシアのプーチン大統領が11日から16日に、キューバ、アルゼンチン、ブラジルへの歴訪を開始します。ウクライナ危機に関連する問題でロシアの孤立化が深刻化している背景の中で行われる今回の歴訪の目的は様々で、ロシアにとって重要な意義を持つものと見られています。
プーチン大統領(写真:AFP)
計画によりますと、プーチン氏は11日にキューバを訪れ、12日にアルゼンチンを訪問します。13日からブラジルに入り、14日にルセフ大統領と会談します。そのほか、 15日と16日に、ブラジルのフォルタレザとブラジリアで第6回BRICS首脳会議に合わせて中国の習近平国家主席との首脳会談も見通しです。ウクライナ情勢をめぐり欧米諸国からの批判が強まる中、プーチン氏は中南米やBRICS諸国との関係強化を図る考えです。
欧州における孤立
ウクライナ危機が発生してから、ロシアと西側諸国との関係が悪化しています。G7=主要7カ国首脳は6月4日、ウクライナ東部の混乱が続いた場合、ロシアに対し追加制裁を実施する用意があるとする首脳宣言を発表しました。欧米による対ロシア制裁は、同時点ではロシア政府高官の渡航禁止措置や資産凍結などにとどまっていました。
追加制裁を避けるためにロシアが歩み寄っているとみる向きもありますが、今回のG7の首脳宣言で、西側諸国がまだロシアのプーチン大統領の対応に満足していないことが示された格好です。こうした中、今回のプーチン氏の中南米歴訪はロシアが孤立状態から脱出するために各国の支持を得ることを目指すものと見られています。
経済的目的
その他、経済的な目的もあると評されています。というのは、中南米諸国はロシアにとって重要な市場として見做されています。歴訪の2日前、プーチン大統領は約352億ドルに上る旧ソ連時代からのキューバの債務90%を帳消しにすることを決定しました。
残りの10%の返済期限を10年延長されます。この決定は、ロシア・キューバ関係の強化だけでなく、将来の協力にもチャンスをもたらすと評されています。
また、プーチン大統領は第6回BRICS首脳会議も重要視しています。「BRICS・包括的な成長、持続可能な解決策」のテーマの下、主なトピックは、国際収支が悪化した際に共同で活用する緊急準備金の創設、およびインフラ整備や持続可能な開発プロジェクトに融資を行うBRICS開発銀行の創設などなどに関する合意文書に署名する予定です。
アナリストらは「ロシアはこれまで中南米諸国と深い関係を築いてきた」とした上で、「プーチン大統領の今回の中南米歴訪はこの地域に対するロシアの影響力の向上に寄与する」との見方を示しています。