3日、中国の習近平国家主席は韓国訪問を開始しました。訪問期間中、パク・クネ大統領との首脳会談で、朝鮮民主主義人民共和国の核問題や日本などについて両国がどのような姿勢を示すのか注目されていますが、アナリストらによりますと、今回の習主席の訪韓は他の目的もあるとしています。
習近平氏が韓国を訪問するのは今回が3回目ですが、中国国家主席としては初めてです。同日夕方、パク・クネ大統領との首脳会談に臨みます。また、習主席は訪問2日目の4日は、ソウル市内の大学で講演を行うほか、両国の企業関係者らが集まる経済フォーラムに参加することになっています。
南北朝鮮に対する差別
中国の国家主席が就任後、伝統的な友好国である朝鮮民主主義人民共和国より先に韓国を訪問するのは初めてです。習氏はこれまで、朝鮮民主主義人民共和国の金正恩(キムジョンウン)第1書記とは一度も会談していませんが、複数の国を歴訪するのではなく、一国のみの公式訪問を行うことも異例で、韓国との関係を重視する姿勢を鮮明にしています。
注目すべきことは、中国が朝鮮民主主義人民共和国に冷たい態度を示している中、日朝関係が改善の兆を見せていることです。日本政府が7月2日に朝鮮民主主義人民共和国への独自制裁の一部解除を決定したことはその証の1つです。
日本を念頭に
日本と韓国との関係が悪化している背景の中で行われているこの訪問に先立ち習氏は、朝鮮日報など3日付の韓国主要各紙に寄稿し、その中で、「中韓両国は安全保障環境の複雑な課題に共同で対処しなければならない」と呼びかけたうえで、「両国は地域の恒久的な安定を実現するために建設的な役割を果たす責任がある」と主張しました。
中国は、同国との領土紛争中に集団的自衛権の行使を限定容認した日本を念頭に置き、安保分野でも韓国との関係強化を目指す狙いがあるとみられます。日本の安倍政権でまだ、日韓、日中の首脳会談が実現しない中、習主席と朴大統領の今回の会談が5回目の中韓首脳会談となることもそれを証明するものと見られています。
孤立状態脱出
習主席としては、主権や領土を巡り、日本をはじめ近隣諸国と対立するなか、韓国を重視する姿勢をアピールして、この地域での孤立化を避ける狙いもありそうです。
実際、この数ヶ月、中国は領海を一方的に主張するために近隣諸国に対し挑発行為を繰り返しており、各国から猛反発を受けて、孤立が一段と深まっています。そのため、孤立状態から脱出することは中国にとって差し迫った問題と評されています。
アナリストらは「韓国にとって中国は最大の貿易相手国であり、両国のさらなる経済協力が重要視されているものの、日韓、米韓関係の重要性から見れば、中国が韓国の全面的な支持を得るためには時間がかかる」との見方を示した上で、「この訪問は中国が地域に対する影響力、支配力を高めるために新たな計画を進めていることを示すものだ」と分析し、警戒感を示しています。