(VOVWORLD) - 6月16日、第15期国会第9回会期において教師法が可決されました。この法律の制定は、単なる制度整備の前進にとどまらず、教育が国家の持続可能な発展戦略における最優先事項であることを明確にし、国際統合への強い意志を示すメッセージとなっています。
ベトナム国会 |
党と国家の一貫した方針を反映する重要なポイント
ベトナムの党と国家は一貫して、教師を教育の質を決定する最も重要で基礎的、かつ中核的な要素として位置づけてきました。
今回制定された教師法は、公立・私立を問わず、すべての教育機関において教師の完全な法的地位を確立しています。これまで私立教育機関の教師は契約労働者として扱われていましたが、今回初めて職業基準を持つ専門職従事者として認められ、公立教育機関の教師と同等の権利と義務を有することになりました。
また、教師には基本給に加えて、特別手当や地域手当、勤続手当など様々な手当が支給されることも決まりました。特に、僻地や離島で勤務する教師には優遇措置が設けられ、科学技術やデジタル分野など重要分野の教育に携わる優秀な人材の確保も目指しています。
世界基準へのアプローチ
世界がグローバル化する中、知識や技術革新がますます重要になっています。こうした状況で、世界各国が優秀な教師の育成に力を入れるのは当然の流れと言えるでしょう。ベトナムもこの世界的な動きに合わせて取り組みを進めています。
今回制定された教師法は、国際的な基準に沿って作られました。具体的には、1966年のユネスコとILO国際労働機関による教師の労働条件に関する勧告や、1997年のユネスコの大学教員に関する勧告などを参考にしています。これらは教育に携わる人々の権利や職業条件を守るための国際的なルールです。
この法律の制定について、ユネスコベトナム事務所の代表を務めるジョナサン・ウォレス・ベイカー氏は高く評価しています。特に、教師の給与を公務員の中でも最高レベルに位置付けるという画期的な政策を歓迎しているということです。
ベイカー氏は、「国会でこの法律が高い支持を得て可決されたことは、教育改革の中心となる教師への投資に対するベトナムの強い決意と長期的な展望を示している」と述べています。
また同氏は、教師の地位向上により、ベトナムは教育格差の解消や学習の質の向上だけでなく、より良い社会づくりにもつながると評価しています。
歴史的文脈と未来への展望
ベトナムの歴史を見ると、教育は国の発展にとって特に重要な役割を担ってきました。実際、2013年に制定された憲法でも、教育は「国民の知的水準を向上させ、優秀な人材を育成する最優先の国策」と明記されています。
ベトナム共産党が創立してから100年、そして建国から80年という歴史的な節目を迎える中、優秀な人材の育成は今後も重要な課題とされています。昨年11月の党中央委員会でも、教育改革は国家戦略の中核として位置づけられました。
こうした背景の中で制定された教師法は、単に法律を整備するだけでなく、ベトナムが教育を重視し、知識を大切にしているということを世界に示す重要な意味を持っています。そして、より良い教育の未来を築くために、国際社会と協力していく姿勢を表明するものでもあります。