15日、ブラジルのフォルタレザで、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国首脳会議いわゆるBRICS首脳会議が開幕しました。新興国や途上国のインフラ整備を支援するBRICS開発銀行の設立が主要議題となっています。
BRICSの首脳ら(写真:africanarguments.org)
この銀行は、融資に厳しい条件を付けず、利率も低く抑えるとみられ、途上国などのインフラ整備需要に応えると期待されています。先進国主導の世界銀行に対抗 する存在として期待されており、2016年の融資開始を目指しています。
当初は5カ国が均等にそれぞれ100億ドル(約1兆円)出資し、最終的には全体で 1000億ドル規模に増資する計画です。BRICSは14日、貿易相会合を開き、国際機関の改革を求めることで一致しました。拡大する経済規模に見合った関与や権限を新興国に認めるよう欧米に変更を迫ることが狙いです。
共通点少ない5カ国
ブラジルのボルジェス開発・工業・貿易相が14日、会合後の記者会見で合意内容を説明しました。「より良い政策協調や世界経済の繁栄のためには国際機関の改革が必要だ」と訴えました。WTO=世界貿易機関や世界銀行などの運営や人事への関与拡大を念頭に置いているとみられます。
今回のサミットが表明するもの(BRICS開発銀行)の裏付けを求めると、あてが外れるかも知れません。5カ国に共通するのは、米ゴールドマン・サックスが生み出したマーケティング向けの頭字語の一部であるというくらいです。多くの多国間グループとは異なり、地理的に離れているため、距離の近さによる関連はありません。
経済規模は中国が南アフリカの24倍です。国のサイズや影響力に大きな差があるため、各国に同等な発言力を与えようとすれば、争いになる可能性が あります。今回のサミットの目的が欧米に対する憂さ晴らしだけならば、ここであげたような問題はBRICSの活動に影響しません。
問題点
だが、その目的は、単なる憂さ晴らしにとどまりません。開発銀行設立の構想を掲げることで、 新興5カ国の 協調と重要さは異なる段階に引き上げられます。この銀行は急成長する新興国に開発資金を融資するだけでなく、代替的な開発ビジョンも示す方針です。
銀行の設立を準備する専門家は、先進国によるアドバイスを受け付けず、世界銀行を思わせる官僚的な融資条件を採用しない構えです。
BRICSが直面する最大の課題は、こうした銀行を設立し運営するうえで求められる高いレベルでの協力です。この重責は主に、新興5カ国のなかで最大の債権国である中国が負うことになりそうです。
しかし、中国政府は多くの国と協調して行動することに慣れていないため、効果的なリーダーシップを発揮できるかどうか疑わざるを得ません。