南上 清一郎 さんのエッセイ

今日のこの時間は神奈川県ちがさき市の・南上(なんじょう) 清一郎(せいいちろう) さんからのエッセイをご紹介します。

 ベトナムと言ったら、何はさておきコーヒーが思い出される。

 APEC が開催されたときに仕事で一回しか訪れたことのない異国「越南 ベトナム」は、まさに海を越えて南へ行ったところにある魅惑(みわく)の地だった。空港に着いてひと(いき)つこうと思いコーヒーを注文したら、コンデンスミルクが入っていた衝撃は、今でも決して忘れない初めての体験として記憶している。文化とは違うものだと感じつつ、おいしくいただいた。アメリカのチェーン店が出店したと日本でも話題になったが、 「あっ」と言わせる伝統的な濃厚で甘味を帯びた味を守ってほしい。  飲んだり食べたりの話ばかりになるが、フォーはラーメンよりあっさりしていて、麺類が好きなぼくの新しいレパートリーに加わった。日本でもメニューに載っていれば必ず注文するけれど、生春巻きはアレンジされていない現地の香草入りが一番で、ライスペーパーから透けて見えるエビが美しい。

 内緒話をすると、貴国で滞在中に恋しくなって日本料理店に入ってしまったことがある。隣の部屋から有名な野球チームの歌『六甲おろし』を合唱している集団に出くわした。郷愁を覚えつつ日本人が確実にベトナムで根を張っていることの表れとして心強い。

 次の機会は観光に時間を取りたいものだ。世界遺産は沢山あるけれど、古都ホイアンに出向くとしようか。歴史ゆかしい地を見ることは、相互の理解にとても役立つ。

南上 清一郎 さんのエッセイ - ảnh 1
来遠橋(日本橋)

400年以上も前に、日本人街があったと聞く。来遠橋は日本橋とも呼ばれるそうだが、現在のベトナムと日本の蜜月を象徴する架け橋とも言えそうだ。満月の日、ランタンが灯される夜祭では、ありし日の繁栄を垣間見ることができるだろう。ノイバイへ戻る前にハロン湾でも遊びたい。叶うならば宿泊クルーズをして、海鮮料理に舌鼓を打ちつつ、雄大な景色に浮かび上がる朝日を望む。かつて歩き回ったことのあるハノイは近い。ちょうど見渡す空は『ベトナムの声』の電波が走っているところだ。いつもラジオでつながっているので、日本にいるのかと錯覚するかもしれない。

  記念すべき国交樹立 40周年より、はるか昔から私たちは友情を紡いできた。古くは 8世紀の有名な阿倍仲麻呂 までさかのぼる。

きっとベトナムの皆さんが日本へやってきても、同じ感慨を覚えるのではないだろうか。留学先として現在は第 4 位であるという。もっと多くの人たちが往来する日は確実にやってくると確信している。

以上、神奈川県ちがさき市の・南上(なんじょう) 清一郎(せいいちろう) さんからのエッセイをご紹介しました。

南上さん、エッセイをお寄せくださりありがとうございました。

それでは、今日のベトナム日本国交樹立40周年記念番組はここで終わります。

来週のこの時間を又お楽しみに。

ご感想

他の情報