(VOVWORLD) - ベトナムのファム・ミン・チン首相は先ごろ、高齢化社会への対応をテーマにした全国会議に出席し、「高齢者は国家の負担ではなく、発展のための貴重な資源だ」と強調したうえで、「シルバー経済」の本格的な推進を呼びかけました。
高齢化社会への対応をテーマにした全国会議 |
ベトナムでは、2011年から高齢化が急速に進んでいます。2024年の時点で、60歳以上の人口はおよそ1420万人。政府の予測によりますと、2030年にはその数が1800万人近くに達する見込みです。高齢者の増加は、年金や医療など社会保障費の膨張につながるという懸念がある一方で、新たな消費市場や労働力を生み出す可能性も秘めています。チン首相はこうした状況を踏まえ、「シルバー経済」の発展は避けられない時代の流れだと位置づけました。
チン首相が示したのは、「シルバー経済」を支える3つの柱です。
まず、高齢者自身を中心に据えるという考え方です。高齢者は、長年の経験と知識を持つ貴重な労働力として「供給側」の資源となります。同時に、健康維持や旅行、生涯学習などへの支出意欲が高い、力強い消費者層として「需要側」の原動力にもなります。首相はこの両面を最大限に活かすことが重要だと強調しました。
次に、企業の役割です。企業には単なる利益追求にとどまらず、高齢者が働きやすい職場環境を整えるなど、社会的責任を果たすことが求められます。シルバー経済を実際に動かすのは企業の創意工夫であり、そのための環境整備が欠かせないとしました。
そして3つ目が、国家の役割です。政府は「制度の設計者」として、必要な法律や規制を整え、企業や個人への優遇措置を設けるとともに、社会保障の基盤をより強固なものにしていく責任があると首相は述べました。
会議で発表しているチン首相 |
そのうえでチン首相は、「高齢化を重荷と捉えるのではなく、経済発展のチャンスと見なす発想の転換が今こそ必要だ」と訴えました。そして、「党が指導し、国家が制度を設計し、官民が手を携えて進む」という基本姿勢のもと、文化・政治・経済・社会が一体となったシルバー経済の推進を目指すと表明しました。
チン首相は、政府はこの方針を、2035年に向けた高齢者に関する国家戦略や、第14回党大会の決議とも連動させながら実行に移していく考えを示し、次のように語りました。
(テープ)
「正しい認識を持ち、的確な政策を打ち、そして断固とした行動で実行に移す。そうすることで、包括的で持続可能なシルバー経済を育て、成長とイノベーション、そして国の持続可能な発展を牽引する新たな力としていきたい。そして何より、高齢者が持てる力を存分に発揮して社会に貢献し続けられるよう、また国の発展の恩恵をより豊かに享受できるよう、その環境をしっかりと整えていきます。」
重点課題としてチン首相は、シルバー経済を成長の原動力に位置づけ、高齢化という課題を国家飛躍のチャンスへと転換するための具体的な方策を示しました。さらに、高齢者が国づくりや国家の発展、そして祖国の防衛においても、その役割をより一層発揮できるよう、党と政府の方針・政策の着実な実行を強く求めました。