(VOVWORLD) - 先週、中国の習近平国家主席は、北京を訪れたEUのコスタ大統領、フォンデアライエン委員長と会談を行い、経済や気候変動などの分野を中心に協力を進める姿勢を示しました。
中国外務省によりますと、習主席は「国際情勢が厳しく複雑になるほど意思疎通を強化し協力を深めるべきだ」と述べ、経済や気候変動などの分野を中心に協力を進める姿勢を示しました。一方、EUのフォンデアライエン委員長は会談で、中国との関係を重視する姿勢を示しつつ「協力が深まるにつれて不均衡も深まっている。互いの懸念を認識し、真の解決策を示すことが重要だ」と述べました。
会談のあと、フォンデアライエン委員長は記者会見を行い、中国との貿易関係について「明確な転換点にある」との認識を示し、両国の懸念を率直に伝えたうえで、部分的に解決策も見出せたと述べました。
また、アメリカとの通商交渉との関係については、「EUはまず交渉による解決を目指すが、必要であればあらゆる手段も検討する」との考えを示しました。
双方はこのほか、気候変動対策に関する共同声明も発出し、経済全体にわたる新たな行動計画に取り組む姿勢を改めて確認しました。
中国側の国営新華社通信によりますと、習主席は会談で「欧州が直面する課題は中国に起因するものではない」と述べ、対立ではなく協力の姿勢を堅持するようEUに求めました。また、「壁や要塞を築いても競争力は高まらず、分断は孤立を招くだけだ」と警鐘を鳴らしました。
習主席はさらに、EUに対して貿易・投資市場の開放を継続し、制限的な経済手段を控えるよう呼びかけました。
昨年、EUの対中貿易赤字は3058億ユーロにのぼり、フォンデアライエン委員長は「協力が深まる一方で不均衡も拡大した。関係の再均衡が必要だ」と述べ、両者が懸念を共有し、真の解決策を提示することが極めて重要だと訴えました。
一方、中国中央テレビによりますと、習主席は「国際情勢が厳しくなる中でこそ、意思疎通と信頼を深めることが重要だ」とし、EUに対し「正しい戦略的選択」をするよう呼びかけました。
意見の相違を巡る率直な意見交換を行うだけでなく、今回のEU・中国首脳会議では、環境分野をはじめ多くの分野において具体的な成果も得られました。これにより、EUと中国は共同声明を発表し、カーボンクレジット市場の構築、循環型経済、二酸化炭素の回収・貯留技術の交換などにおける協力を促進することを約束しました。また、今年末にブラジルで開催される予定の国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)において、気候目標の達成に向けて緊密に連携すると強調しました。