(VOVWORLD) -先週、ウクライナはアメリカから供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」を使用し、ロシア西部ブリャンスク州の兵器庫を攻撃しました。
19日はロシアとウクライナの軍事衝突開始から1000日目に当たり、新たな緊張が高まっているとしています。
これに先立ち、ロシアはウクライナが初めてアメリカ製のATACMSを使用したとし、ブリャンスク州の軍事施設に対し6発の攻撃があったと発表していました。ロシア軍は5発を撃墜し、 うち1発の破片が施設に落下したものの、死傷者は出ていないといいました。
ウクライナ側は、ロシア国内にある兵器庫を攻撃し、二次的な爆発を引き起こしたと発表しました。
米当局者は匿名を条件に、ウクライナが発射したミサイル8発のうち、ロシアは2発を迎撃したと指摘しました。攻撃は弾薬補給拠点を標的にしたものだったと述べました。
ウクライナがアメリカ製兵器を使用してロシア領内を攻撃することをバイデン政権が許可したという報道を受け、ロシアはアメリカが紛争に直接関与することになると警告し、緊張が高まっています。ウクライナのゼレンスキー大統領は議会での演説で、戦争の「決定的な瞬間」は来年訪れるだろうとし、「戦争のこの段階で、誰が勝利するかが決定されるだろう。われわれが敵に勝つのか、敵がウクライナ人やヨーロッパ人に勝つのか」と述べました。
ATACMSの射程距離は最大300キロでした。軍事専門家は、ATACMSはウクライナがこれまでに制圧したロシア領を防衛するために役立つ可能性があると指摘しました。ただ、アメリカによる使用許可が遅すぎたため、戦争の行方に決定的な影響が及ぶ公算は小さいとの見方を示しています。
ロシアのプーチン大統領は19日、核兵器使用に関するドクトリン(核抑止力の国家政策指針)の改定を承認した。核保有国の支援を受けたロシアへの通常兵器攻撃に対し、核兵器の使用を検討する可能性があると警告しました。21日、プーチン大統領は演説し、ウクライナ東部への攻撃で「オレシュニク」と名付けた新たに開発した極超音速の中距離弾道ミサイルを使用したと明らかにし、ICBMを発射したというウクライナ側の発表を、事実上否定しました。その上で、ウクライナが欧米から供与された射程の長いミサイルで、ロシア領内に攻撃を行ったことへの報復だとしていて、「実験は成功し、目標は達成した」と述べ、実験も兼ねた攻撃だったと主張しました。
これに関し、アメリカのトランプ次期大統領はNATO=北大西洋条約機構のルッテ事務総長と会談し、ロシアとウクライナとの軍事衝突などをめぐり協議したとみられます。