欧州熱波、死亡者のうち1500人が気候変動に起因 英大学など分析
(VOVWORLD) - ヨーロッパ各地では6月から7月にかけて記録的な熱波に見舞われ、スペインやポルトガルの一部地域では40度を超える猛暑日が続きました。
カナダ・マニトバ州政府、2025年7月10日、今シーズン2回目となる州全域の非常事態宣言を発令(写真:THX/TTXVN) |
イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究グループは、ヨーロッパの12の都市で、6月23日から7月2日までの10日間に熱波が原因でおよそ2300人が死亡したと推計し、そのうち約65%にあたる約1500人が人為的な気候変動によるものと分析しました。研究グループは、気候変動によって死者数が3倍に増加したと結論づけています。
ヨーロッパ各地では6月から7月にかけて記録的な熱波に見舞われ、スペインやポルトガルの一部地域では40度を超える猛暑日が続きました。トルコやギリシャでは山火事が相次ぎ、フランスでは冷却水の不足が懸念され、一部の原子力発電所の稼働が停止される事態となりました。
研究グループは、ロンドン、パリ、ローマ、マドリードなどヨーロッパの主要な12都市を対象に、熱波による死亡者数を推計しました。過去の気象データを用い、地球の平均気温が現在より1.3度低かった場合の死者数と比較した結果、熱波が続いた期間中におよそ2300人が死亡し、そのうち約1500人は地球温暖化によって増加したとみられるとしています。
また、化石燃料の燃焼などによる気候変動の影響で、今回の熱波では気温が1度から4度上昇していたことも明らかになりました。
都市別では、ミラノで317人、バルセロナで286人、パリで235人、ロンドンで171人が気候変動の影響を受けて死亡したと推計されました。特にマドリードでは、熱波による死者のおよそ90%が気候変動に起因していたとされています。
さらに、死亡した約1500人のうち88%を65歳以上の高齢者が占めていて、高齢者や基礎疾患を持つ人々にとって深刻な影響が及んでいることが分かりました。
研究に参加したインペリアル・カレッジ・ロンドンのベン・クラーク氏は「熱波は山火事や暴風雨のように目に見える破壊をもたらさないが、壊滅的な被害を引き起こす。わずか2〜3度の気温の違いが、何千人もの人々の生死を分ける」と述べ、気候変動への対応の重要性を強調しました。(日本経済新聞)