ECB、8会合ぶりに利下げを見送り 貿易不確実性で9月緩和に慎重姿勢
(VOVWORLD) - 金利の据え置きは市場の予想通りで、ECBはこの1年で8回にわたって利下げを実施し、中銀預金金利を4%から2%に引き下げてきました。
欧州中央銀行(ECB)のロゴ、2023年3月16日にドイツ・フランクフルトの本部外で撮影されたもの(写真:REUTERS/Heiko Becker) |
ECB=欧州中央銀行は24日に開いた理事会で、政策金利の引き下げを8会合ぶりに見送ることを決定しました。欧州連合=EUとアメリカのトランプ政権との間で関税交渉が続き、不確実性が根強い中、金融政策の変更を見送る判断を下した形です。
ECBは声明で、「厳しい世界経済の環境の中で、過去の利下げの効果が一部表れ、域内経済は全体として底堅さを維持している」とする一方、「貿易摩擦などにより、環境は依然として非常に不透明だ」として、今後の金利方針については「会合ごとに判断する」としています。
金利の据え置きは市場の予想通りで、ECBはこの1年で8回にわたって利下げを実施し、中銀預金金利を4%から2%に引き下げてきました。
インフレに関しては、「これまでに得られた情報は、前回の評価とほぼ一致しており、域内の物価上昇圧力は引き続き緩やかで、賃金の伸びも鈍化している」との見方を示しました。
また、EUとアメリカの関税交渉に関しては、アメリカが当初予定していた30%の輸入関税を回避し、15%で合意する可能性があるとする見方が欧州外交筋から示されています。ただし、アメリカ側はこうした見方を「推測にすぎない」としています。
ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、「現在は様子を見る段階にある」とし、「中期的にインフレ率が目標水準で安定するという予測が示されており、経済は良好な状況にある」と述べました。また、「貿易に関する不確実性が早期に解消されれば、対応すべきリスクも軽減される」と強調しました。
金融市場では、秋に予定される9月の利下げについて、これまで100%に近かった実施予想が80%にまで低下しています。ドイツのコメルツ銀行のエコノミスト、ヨルグ・クレーマー氏は「9月の利下げはもはや見込んでいない」とし、「今年と2026年は2%の金利が維持されるだろう」との見通しを示しました。
ECBの関係者からは、今後利下げに踏み切るには、成長とインフレのさらなる鈍化に加え、ECBスタッフによる経済見通しの下方修正が必要になるとの声も出ています。(ロイター)