EU、レアアース不足対策などで経済安保ドクトリン策定
(VOVWORLD) - EU欧州委員会は3日、レアアース(希土類)不足などの脅威への対策として、貿易措置の強化や経済安全保障対策を追加する「経済安全保障ドクトリン」を発表しました。対象はEU加盟27カ国となっています。
EUはこれまで、新型コロナウイルス禍の影響やロシアによるウクライナへの軍事行動、アメリカの前政権による欧州からの輸入品への関税強化、中国によるレアアースや半導体の供給規制などに直面してきました。こうした状況を踏まえ、エネルギーや物資の単一供給源への長年の依存を終わらせるため、迅速かつ多分野で行動する必要があるとして、今回の対策を打ち出したとしています。
加盟国は3日、2027年終盤までにロシア産ガスの輸入を終了することで合意しました。欧州委員会は、加盟国での資源開発を加速させる「RESource(リソース)EU」を通じて実現を目指すとしています。
また、EUの加盟国や企業とさらに緊密に連携し、域内サプライチェーンや投資に関する規則、防衛・宇宙分野、新技術、重要インフラにおける強みを検証する方針を示しました。
セフコビッチ欧州委員(通商担当)は「政策への対応から、政策の再構築へと移行したい」と述べ、現在1年間の調査を経て適用されている独占禁止法違反(反ダンピング)関税や補助金対策関税の迅速化を、2026年第3・四半期までに検討すると明らかにしました。新たな措置には、過剰生産能力を含む不公正な貿易や市場の歪みに対する対策、高リスク分野の企業への複数サプライヤー確保の奨励、戦略的分野の公共調達でのEU企業優先採用などが含まれる可能性があります。
極めて重要な分野や技術で域外依存を減らすため、EU企業への支援を優先する方針も示されました。セフコビッチ委員は、2010年に日中間の対立で中国がレアアースの輸出を停止した際、日本が多様化やリサイクル強化、備蓄や連携構築で対応した事例から学ぶことができるとの見解を示しました。
セジュルネ欧州委上級副委員長(産業戦略担当)は、多様化に向けた一部措置をEUが義務化できるとした上で、「経済安全保障の観点から欧州企業は日本やアメリカ、あるいはインドの企業と同じように、中国からの100%調達を止める必要がある」と訴えました。(ロイター)