FRB、5会合連続で金利据え置き トランプ氏任命の2委員は利下げ主張
(VOVWORLD) - アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は、29日から30日にかけて開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25~4.50%に据え置くことを決定しました。据え置きは5会合連続となります。
アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長、2025年7月30日の記者会見で発言する(写真:REUTERS/Jonathan Ernst) |
この決定に対し、トランプ大統領と見解が一致し「金融政策は引き締め的すぎる」とするウォラー理事とボウマン副議長(金融監督担当)の2人が反対票を投じ、賛成9、反対2の結果となりました。
FRBは利下げの時期について明確な手がかりを示さず、パウエル議長もFOMC後の記者会見で、金融政策の方向性に慎重な姿勢を維持しました。次回の会合が予定されている9月16日から17日までに、幅広いデータを検証する時間があるとして、「9月について何も決定していない」と述べました。
また、見通しに対するリスクが一部高まっているとし、現在の金融政策は「控えめに制約的」な水準に適切に設定されているとの考えも示しました。さらに、「あまり早く行動すれば、インフレを完全には解決できないことになり、非効率だ。遅すぎれば、労働市場に不必要なダメージを与える可能性がある。結局のところ、われわれがインフレを抑制するために必要な行動を取ることに疑いの余地はないはずだ。効率的に行うのが理想的だ」と述べました。
今回のFOMCではウォラー氏とボウマン氏が反対票を投じたほか、クーグラー理事が欠席し、投票には加わりませんでした。セントルイス地区連銀によりますと、2人のメンバーがFOMCの決定に反対票を投じたのは1993年12月以来初めてだということです。
トランプ大統領はFRBに対し、繰り返し利下げを求めており、独立した機関であるFRBに対するトランプ氏の圧力がどのように作用しているのか、今後議論を呼ぶ可能性があります。
今回反対票を投じたウォラー理事は、来年5月に任期が満了するパウエル議長の後任候補の一人として名前が挙がっています。同氏とボウマン氏はともにトランプ氏によって任命された人物です。FOMC声明によりますと、両氏は0.25%の利下げを主張しました。
パウエル議長は、両氏による反対について「テーブルを囲んで非常に思慮深く議論された」と述べたうえで、政策当局者の大多数は、より多くのインフレデータを入手するまで利下げに依然として消極的であると説明しました。
トランプ氏は、FRBが金利据え置きを発表した直後に再び利下げを要求し、記者団に対して「金利が高水準に維持されていることで、人々の住宅購入が妨げられている。すべてFRBのせいだ」と述べました。
FRBはFOMC声明の中で、「失業率は低水準を維持し、労働市場の状況は引き続き堅調だ。インフレ率は依然やや高止まりしている」と指摘しました。同時に、「最近の指標は、今年上半期の経済活動の伸びが緩やかになったことを示している」との認識も示しました。
また、「経済の見通しを巡る不確実性は依然として高い」とし、FRBが担う物価と雇用の2つの責務の「両面に対するリスクを注視している」と述べています。
今回のFOMCを受けて、金利先物市場が見込む次回9月会合での利下げの可能性は低下しています。(ロイター)