(VOVWORLD) - 近年、中部高原地帯テイグエン地方にあるダクラク省の当局による啓発活動や住民の動員に加え、エデ族の多くの村落で、芸術家、長老、村長らが自らの民族文化の保護と継承に尽力してきました。中部高原に住むエデ族の独自の文化に触れ、体験できるのはこの地ならではの魅力です。
アコトン集落の銅鑼演奏プルーぷ |
エデ族は約33万人が中部高原を中心に居住する少数民族で、神話、民謡、ことわざなど豊かな口承文学をもち、とくに叙事詩が有名です。楽器は銅鑼や太鼓などですが、銅鑼文化はエデ族の精神文化を支える柱の一つです。銅鑼を神聖視し、信仰や儀式で演奏する伝統があり、その「銅鑼の文化的空間」は2009年にユネスコの無形文化遺産に認定されました。
(銅鑼の音)
ダクラク省チュムガ県チュスエ村のスットムドゥン集落では、休閑期に村の芸能団が銅鑼を打ち、笛を吹き、英雄叙事詩を歌う練習をします。この演目は村人だけでなく観光客にも披露され、文化交流の場でも上演されています。芸術家のイ・ムック・ニェ氏、イ・ヴォン・ニェ氏、アマ・イ・ダム氏は次のように話しました。
(テープ)
「これは客を我が家に招き入れるためのものです。陶器に水を一杯入れてから、銅鑼を鳴らして知らせます」
「私たちの銅鑼団は大変誇りに思っており、どこに行っても演奏して、皆に私たちの民族文化を知ってもらおうとしています」
「私は水曜と金曜の夕方が通常の練習時間です。年長者から教わり、手に馴染むよう地道に稽古を重ねています」
チュスエ村人民委員会のファム・ティ・トゥ副委員長は、村が住民とともに銅鑼文化をはじめエデ族の伝統文化を保護する理由を次のように説明しました。
(テープ)
「物質的な豊かさだけでは十分ではありません。ここでは、労働に加えて文化活動を大切にしています。大人は銅鑼を打ち、子供たちは喜んで銅鑼クラブに参加しています。政府から支援があれば、さらにこうした活動を広げて、文化を守ることができるでしょう」
アコトン集落の女性たち |
エデ族の文化を語る上で、銅鑼文化と並んで欠かせないのが伝統的な長屋(ロングハウス)です。この高床式の木造・竹造り建築は、数十人が共同生活を送る集落の特徴的な景観を形作っています。
ブオンマトート市のタンロイ地区にあるアコトン集落は、30棟以上の伝統的長屋が緑陰の下に立ち並ぶ、ダクラク省はもちろん、中部高原でも最も美しい少数民族の村落として知られています。現代生活を送りつつも、アコトン集落のエデ族人々は、長屋、井戸、銅鑼という伝統文化をほぼ損なうことなく守り続けてきました。集落の住民は次のように話しました。
(テープ)
「便利さを求めて多くの村がコンクリート造りに変わりましたが、この集落は伝統的な長屋を大切にしています」
「アコトン集落に足を運べば、風情ある長屋に加え、在来の銅鑼の音、叙事詩の朗詠、ソアン踊り、そして夜のキャンプファイアーを体験できますよ」
かつてこの集落でも、木造の長屋を壊してモダンな住居を建設したり、銅鑼一式を売却しようとする動きもありました。しかしその時、長老のアマ・ホリン氏と地元当局が住民に呼びかけ、民族の伝統文化を共に守ろうと働きかけました。このタイムリーな対応が、今日のアコトン集落の固有の文化的風情を守ることにつながったのです。ブオンマトート市人民委員会のブ・バン・フン委員長は次のように述べています。
(テープ)
「市では、エデ族の33集落における文化的アイデンティティの保護と発展を計画しており、毎年具体的な施策を打ち出しています。文化的アイデンティティを守ることは、この地の文化振興戦略の最重要課題なのです」
昨年は、ダクラク省の文化スポーツ観光局が、エデ族の村落で無形文化遺産の研修や指導を行い、伝統儀式の再現にも取り組みました。さらに省は、住民に対しコミュニティ観光の発展を支援し、経済的な発展と伝統文化を守り、継承することの両立を目指しています。