ミュージック・ビデオ「Bắc Bling」

このトレンドで成功を収めた歌手や作曲家も数多く、音楽活動の多様性と活気を作り出すとともに、伝統文化が現代社会においても日増しに普及することに貢献しています。

現場の音 

3月初めに公開されて以来、歌手ホア・ミンジーがアーティスト「スアン・ヒン」とラッパー「トゥアン・クライ」と共演したミュージック・ビデオ「Bắc Bling」は、ベトナム音楽界の新たな現象となっています。現代的なメロディを背景に、アーティストたちは多くの伝統的要素を組み込んだことにより、さまざまな世代の聴衆を魅了しています。

「Bắc Bling」の歌詞の一部は、ベトナムの古い民謡や格言から引用されています。このミュージック・ビデオでは、ドンホー村の版画、ヒューチャップ村の綱引き祭り、レスリング、クアンホー民謡を歌うリム祭りなどバクニン省のユニークな伝統文化が紹介されたほか、ダウ寺、ドゥ神社、バ・チュア・コー神社、陶器生産村であるフー・ラン村などバクニン省の有名な観光地も登場しています。

現場の音 

また、歌「バクブリン」はベトナム国内だけでなく、海外の多くの聴衆により好まれています。公開されてから2週間後、この曲は6300万回以上の再生回数を達成し、ベトナム国内の多くの音楽ストリーミング再生回数ランキングで1位を獲得しました。また、この曲が世界中で最も多く再生された楽曲の週間ランキングで15位にランクインされたほか、オーストラリア、シンガポール、韓国、台湾（中国）、チェコ、日本、ドイツ、カナダなどの国々と地域でも週間のトップ20に入りました。この作品について、作曲家のザン・ソン女史は次のように述べました。

（テープ）

「このミュージックビデオは、楽曲、撮影、衣装、音楽など、すべてが一貫しており、現代的な民族音楽を基盤にしています。これは非常に完成度の高いミュージックビデオであるほか、故郷に対する愛情を表現しています。このMVを通じて、視聴者はバクニン省を知り、バクニンが歴史的・文化的に豊かな地方であることを理解したうえで、訪れてみたいと思うようになるでしょう。これは、バクニン省の観光をPRするための素晴らしい方法だと思っています」

伝統音楽の刷新、伝統と現代の要素を融合させること、ベテランのアーティストが若手歌手と共演すること…これらは最近、多くのアーティストが実践している方法です。

このスタイルを追求し、比較的成功を収めた若手歌手としては、ホアン・トゥイ・リン、ハ・ミョ、ホア・ミンジー、フオン・ミー・チーなどが挙げられます。また、伝統音楽とポップ、ラップ、ワールドミュージックを融合させた音楽作品も登場しています。例えば、歌手ハ・ミョの「ハノイのハットサム」はベトナムの伝統的民謡ハットサムとラップ、エレクトロニカが融合された歌曲の一つです。これらの新しい音楽は観衆から前向きな反響を呼んでいます。

現場の音

（肉声のテープ）

「歌手やアーティストが現代音楽に伝統的要素を取り入れることは、正しい方向だと思っています。これは音楽家の音楽的思考や才能を表現できるほか、視聴者の好奇心をゆさぶり、惹きつけることができます」

音楽研究者であるグエン・クアン・ロンさん（本人が提供する写真）

伝統的要素を創造的に活用することは、地元の文化をＰＲすることに貢献しています。近年、多くの音楽家は伝統的音楽を素材にした作品を創造し、観衆の心に深い印象を残しています。音楽研究者であるグエン・クアン・ロンさんは次のように語りました。

（テープ）

「伝統音楽はユニークな価値を持っています。そのため、古い民謡に現代音楽を加え、少しアレンジすることで、今の若者たちのトレンドにも応えられるようになります」

一方、ベトナム国立音楽学院の声楽科講師であるグエン・カイン・リー博士は、民族的素材や伝統的素材を取り入れた音楽作品が増えていることは、ベトナム音楽の喜ばしい兆しである。これにより、故郷や国に対するアーティストの愛を表すほか、現代音楽作品に新たな顔が加わり、ベトナムのアイデンティティをしめしていると明らかにし、次のように語りました。

（テープ）

「伝統的な音楽素材を繊細かつ選択的に活用することは、ベトナムの現代音楽に伝統的要素を取り入れるだけでなく、聴衆がベトナムの文化的アイデンティティを理解できるようになります。また、これは、愛国心や民族の誇りを伝える上で非常に高い効果を持つ方法と言えます」

今日の若手アーティストたちは伝統音楽の価値を新しくアレンジし、それを国内外の聴衆に親しみやすく、アクセスしやすい音楽へと変える方法を駆使しています。これはベトナム音楽が国際市場でも確立される、その一歩を踏み出すとともに、ベトナムの文化のアイデンティティの不変の価値を証明するものといえるでしょう。