ベトナムのお餅「バインザイ」

(VOVWORLD) - お餅はベトナム文化を支えているものの一つであるといわれています。

ハー こんにちは、ハーです。

ソン こんにちは、ソンです。ベトナムの伝統的な旧正月テト明けは、祭りのシーズンと言われていますね。

ハー そうですね。現在、全国各地で、様々な祭りが行われており、祭りの雰囲気が盛り上がっていますね。

ソン はい。そうした中、旧暦の1月7日にあたる2月22日に、北部フート省フンホア町チュックフェ村で、チュックフェお餅つき祭りが行われました。チュックフェだけでなく、北部ライチャウ省やタインホア省などでもお餅つき祭りが行われることから、お餅はベトナム文化を支えているものの一つであるといわれています。では、今日のハノイ便りはベトナムのお餅についてお伝えします。

 ベトナムのお餅「バインザイ」 - ảnh 1 ベトナム風のハムを挟んだお餅

ハー はい。お餅はベトナム語で「バインザイ」(Banh Day)といいます。ベトナムのお餅バインザイはモチ米で炊いたご飯をよく潰してからつくるもので、お雑煮に用いる日本のお餅に似ている気がしますね。

ソン はい。私は日本にいた頃、よくスーパーでお餅を買って食べました。味はベトナムのお餅とほぼ同じですが、違うところがあります。

ハー 何ですか。

ソン まずはその形です。私は東京に住んでいたので、日本で食べたお餅はほとんど、四角い餅でした。一方、ベトナムのお餅は丸いです。これは関西方面でみられる丸い餅に似ているようです。

ハー そうですか。ベトナムには四角いお餅がないですからね。

ソン それから、もう一つの違いは食べ方です。日本では、四角いお餅は焼いて食べる地域が多いようです。これに対し、ベトナムには、お餅を焼くという習慣がありません。茹でるだけです。

ハー 日本でも、丸いお餅は茹でるところがほとんどのようですね。

ソン そして、ベトナムのお餅はお肉を乗せて食べるのが一般的です。ベトナム風のハムを2枚のお餅の間に挟んで食べるので、「ハムはさみ餅」と呼ばれていますね。

ハー これは私が大好きな食べ物で毎朝よく食べています。

ソン そうですか。そして、日本のスーパーで売られているお餅は冷凍お餅ですが、ベトナムには冷凍がなく、ほとんどは造りたての生餅です。

ハー お米を主食としたベトナムには、お餅文化があると言われています。お餅はベトナムの昔話でよく登場しますね。

ソン そうなんです。お餅の誕生に関する伝説は、ベトナム紹介やハノイ便りなどで何回も紹介していますが、もう一度紹介しましょう、ハーさん。

ハー はい。伝説によりますと、ベトナムの最初の国家とされるバンラン国の第6代フン王(雄王)には、20人の息子がいました。王は跡継ぎを選ぶために、息子達に世界中から珍しくて美味しい食べ物を探すよう命じました。王子たちは遠い所まで食べ物を探しに行きましたが、18 番目の王子だけは、夢に見た神様のお告げ通り、大地を表す四角いバインチュンと、天を表す丸いバインザイを作って、王に捧げたんです。それ以来、バインチュンと、バインザイはご先祖に捧げる神聖な供え物となり、ベトナム民族の美意識を示すとともに、旧正月テトの欠かせない料理となったのです。

ソン 実はバインチュンはもち米の中に緑豆の餡と豚肉が入っています。これをラーゾンというバナナの葉に似た緑の葉っぱで巻いて、10時間ぐらい茹でますので、お餅の一種ですね。

ハー こうしたお餅は、ベトナムの日常生活はもちろん、多くの伝統的なお祭りでもよく現れています。その中の代表的なのは先ほどお話ししたチュックフェお餅つき祭りですね。

 ベトナムのお餅「バインザイ」 - ảnh 2 チュックフェお餅つき祭りでご飯を炊く

ソン そうです。ハノイから北西へ70キロぐらい離れたチュクフェ村で毎年の初めに行われるこの祭りは、千年の歴史があるそうですね。

ハー チュックフェ村の伝説によりますと、紀元前3世紀に、この村で生まれ育った女性ホー・ティエン・フォンさんは、北からの侵略者との戦いで有名な将軍となりました。長引いた戦いで兵士たちの健康を保つ措置として、お餅をよく食べさせたという伝説です。

ソン この将軍が亡くなった後、村人は、村の守護神としてみなし、その恩に報いるため、毎年、お餅つき祭りを行うということです。それぞれの一族は一番おいしいお餅を作るために全力を尽くします。お餅を作った後、そのお餅を山車に乗せてホー・ティエン・フォン将軍を祀る社へ持っていきます。

ハー 社で、一番おいしいお餅を選ぶ儀式が行われ、一番おいしいお餅として認められたお餅はホー・ティエン・フォン将軍にお供えされます。これは、そのお餅をつくった一族にとって最大の誇りであり、一族全員に幸運をもたらすと信じられています。

 ベトナムのお餅「バインザイ」 - ảnh 3チュックフェ村のお餅つき 

ソン チュックフェお餅つき祭りに長年参加したファム・ティ・トアンさんによりますと、お餅をつくるのは、炊く・潰す・こねるという3つの過程があります。お祭りでは、一つのお餅は厳格に選ばれた2キロ〜4キロのもち米から作られます。もち米でご飯を炊く過程を担当しているトアンさんの話しです。

(テープ)

「用いられるもち米は香りもあるし、モチ米の粒がそろっていなければなりません。そのもち米をきれいに洗って2時間ぐらい水につけます。その後、炊きますが、十分に炊くようにしなければなりません。そうしないと、潰しにくくなります。25分間ぐらい炊くと、いいでしょう。炊きすぎると、柔らかくなるので、お餅がきれいになりません。」

ソン ご飯が炊き上がると、すぐ潰さなければなりません。潰す過程で臼として使われる物は竹でできて、辺が約1メートルの正方形をしています。杵は木製で、長さは約⒈5メートルです。

 ベトナムのお餅「バインザイ」 - ảnh 4お餅の形づくり

ハー モチつきの過程は、4人の共同作業です。2人がモチ搗きする。一人はご飯が外に飛ばさないようにまるめる。もう一人はご飯を混ぜるという役割分担です。チュックフェ村の一人ド・チュン・キエンさんは次のように話しています。

(テープ)

「最も重要なのはみんなが一体となることです。そして、ご飯を混ぜる人の手を見ながら、搗くことが大事。搗くとき、粘りがないように、杵に鶏の脂をちょっとつけます。」

ハー モチ搗きの過程は15分〜20分かかります。搗いた後、すぐにこねる過程に入ります。美味しさはもちろん、美しく仕上げるのも、そのお餅が選ばれるかどうかを決める要素です。

ソン 祭りで作られたお餅は村の守護神と先祖にお供えした後、村人に配られます。チュックフェ村の人々にとって、このお餅は単なるおいしい食べ物であるだけでなく、村の伝統を物語る物でもありますね。ではおしまいに、一曲をお送りしましょう。

(曲)

「 」をお送りしました。今日のハノイ便りは、ベトナムのお餅についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。

ご感想

横山岳郎iwao-yokoyama

ゆんさまと会って人生の幅が広がりました。ベトナムの世界も少しは理解があって、訪れたら活気に満ち溢れる世界でした。

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