タクシン踊り

現代の生活リズムの中、民謡や伝統舞踊、民族楽器の音色は絶えることなく響き続け、過去と現在をつなぐ架け橋となっています。こうした中、地元の文化・民俗芸能クラブの活動が活発化し、伝統文化の保存と継承に大きな役割を果たしています。

現場の音 
ドンヒー村では、毎週、地元に住む少数民族サンジュの伝統民謡であるソンコーを歌うタムタイ・クラブのメンバーが文化会館に集まり、民謡「ソンコー」を練習しています。鮮やかな民族衣装に身を包んだ男女が輪になり、歌を掛け合いながら交流を深めています。クラブメンバーのアウ・ティ・ファムさんとドー・ティ・トゥエットさんは次のように述べました。
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「私たちは長い間、ずっとソンコーを歌い続けてきました。今の年齢になっても仲間と集まり、歌い合えることが何よりの楽しみです」
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「サンジュ族の文化は私の心に深く刻まれています。だからこそ、サンジュ属の伝統民謡のソンコーが大好きです。歌うたびに心が軽くなり、とても幸せな気持ちになります」

ジエップ・ミン・タイさん

2015年には、ドンヒー村のサンジュ族のソンコーが、国家レベルの無形文化遺産に登録されました。これを機にクラブ活動はますます盛んになっています。クラブ代表であり優秀芸能家でもあるジエップ・ミン・タイさんは、古文書の翻訳や歌の記録、若い世代への指導に長年取り組んできました。タイさんの話です。

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「このクラブは、ドンヒ村で最初に設立されたものです。はじめは村で活動を行いましたが、次第に他のクラブも学びに来るようになり、ほかの村やほかの地方と交流しています」
クラブの一人ひとりが、地元の住民や行政府と連携し、失われつつあったサンジュ族の伝統文化を復活させる役割を担っています。クラブメンバーのレ・バン・ティエンさんは、次のように話しました。
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「現在もソンコークラブは、サンジュ族の伝統文化を守り続けています。民謡ソンコーは、畑仕事のときも、来客を迎えるときも歌われます。クラブの活動は、サンジュ族の文化的アイデンティティの発揮に大きく貢献しています」

サンジュ族だけでなく、ボーチャン村に住むサンチャイ族の人々も、国の無形文化遺産に登録された「タックシン踊り」の保存に力を注いでいます。
現場の音
タックシン踊りはサンチャイ族の誇りであり、世代を超えて大切に守られてきました。ボーチャン村のタックシンクラブのチャン・ティ・バクさんは次のように述べました。
（テープ）
「私はサンチャイ族の一員であることを誇りに思っています。このタックシン踊りを絶やさないため、守り続けることが私の務めです。これは無形文化であることから、前の世代から学び、次の世代へ伝えていかなければならないと思っています」
現在、クラブには20人以上のメンバーがおり、日頃から練習や出演、交流を続けています。素朴さと情熱をもって民族のアイデンティティを守り続ける姿勢、さらに地元行政の支援が相まって、ボーチャン村の「タック・シン」踊りは、村内における民俗文化保存の取り組みの中で大きな注目を集める存在となっています。
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また、伝統文化を継承する取り組みの一環として、タイハイ村のテイ族の人々は、原風景そのままの文化空間で暮らしています。そこでは、地元の民謡テンや伝統楽器ティンの音色が、今も山あいに響き続けています。
タイハイでは、テイ族の芸人や女性たちが、祭礼や正月、または来訪者を迎える際にも、民謡テンの歌声を響かせています。こうしてタイハイ村の文化空間は、古い高床式住居やテイ族の伝統習俗を守る場所であるだけでなく、「黒板のない教室」として、若い世代が伝統楽器ティンの弾き方、伝統民謡テンの歌い方、そして民族衣装を学ぶ場にもなっています。タイハイ村に暮らすテイ族のレ・ティ・ハンさんは、次のように語りました。
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「ここで、先人から受け継いだものを次の世代へと伝えていくことで、民族の伝統文化が途絶えることなく続いていくのです。私自身も祖父母から教わり、それを子どもたちへ伝えていく責任があると感じています。」

民謡テンを歌う女性たち

統計によりますと、タイグエン省には現在、数百件の無形文化遺産があり、地元に住む各民族の豊かで多様な文化生活を示しています。各遺産に対し、地方ではそれぞれの文化遺産を守るためのクラブを結成し、地元住民が文化活動を楽しむ場を提供しています。

こうした村々の小さなクラブから、より広がりのある文化空間に至るまで、伝統民謡の歌声や伝統舞踊の音色が力強く鳴り響いています。それは単なる村の音色ではなく、民族の誇りを象徴する響きであり、タイグエン省に息づく各民族文化の力強い生命力の証でもあります。伝統は守られるだけでなく、今日の暮らしの中で日々、新たな息吹を得ているのです。